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■「インファナル・アフェア」公開記念■

愛と復讐の挽歌 nancixがアンディを最初に映画で見たのは「愛と復讐の挽歌」(87)だったはず。この映画は日本では後編が先にビデオ化されるという奇妙なことになったものの、メガネをかけ律儀にユンファボスに付き従いながらも、実の兄との確執に苦悩する青年役はかなり印象に残りました。もっとも、メガネのせいで全然ハンサムに見えなかったのですが(^_^;)
 トニーとの共演作以外でも、ぜひチェックしておきたい作品は以下の通りです。何しろ出演作は100本以上もあるし、廃盤も多いので難しいかもしれませんが…。

「いますぐ抱きしめたい/旺角卞門」(88)
 まだ顔が丸いマギー・チョン張曼玉、情けない極みのジャッキー・チュン張學友はともかく、アンディが「チンピラ役」に新境地を開拓した作品。体育会系青年の色気が香り立ちます。キスシーンも他のアンディ作品では(ありえない!)と思うくらい激しいです。

「ゴッド・ギャンブラー/賭神」(89)
 いくらチョウ・ユンファ兄貴主演作とはいえ、アンディとジョイ・ウォンの共演でなかったら香港であれだけのお化けヒットを記録したでしょうか。お茶の間でユンファとアンディの兄弟愛、もとい先輩と後輩のいい関係を見てきた香港人らは、彼らの共演再びに胸躍らせたはず。アンディの現代っ子らしい軽やかさと危なっかしさ、いざというときの面倒見のよさとひたむきさ。一方、ユンファの貫禄+稚気溢れる笑顔。両方あってこそのゴッド・ギャンブラーシリーズでした。

「ゴッド・ギャンブラー2/賭侠」(90)
 思えば「欲望の翼」を完全に圧して90年クリスマスシーズンに大ヒットを飛ばしていたのが、チャウ・シンチーとの共演のこの作品。満員の香港人観客にはおっさんオバさん子どももいて、ポーカーシーンに「あかんあかん、そんな罠にはまったら!」「悪いやっちゃなー、あの手はひどすぎるやんかぁ」と銀幕に突っ込み入れるにぎやかさは、さながら阪神タイガースファンin甲子園というノリでした。最後のユンファ兄貴登場!には拍手喝さい! nancixが"わざわざ香港に行って香港映画新作を見る"楽しさにハマったきっかけの作品の一つ。

「欲望の翼/阿飛正傳」(90)
 端正で律儀な夜警役のアンディから目が離せません。nancixは制服フェチではないのですが、雨に濡れた警官の制服姿がこんなにも色っぽいとは。声を抑え気味に話すのもセクシー。船乗りになってフィリピンに行ってからの展開には(何が何でも銃撃戦がないといかんのかいな、なぜ?)と思わないでもないですが、腕をまっすぐ伸ばしてためらいなく銃を撃つ姿は素晴らしい。

「アンディ・ラウの逃避行/天若有情」(90)
 香港人の3人に1人は「アンディといえば」と引き合いに出すはずの超ヒット作。この作品の特徴は、何といってもアンディがしゃべらないこと。台詞が幾つあるかすぐに数えられそうなほど寡黙ながら、全身で感情を表現してみせます。ストーリーはわかりやすいメロドラマ(よく引き合いに出されるのが吉永小百合・浜田光夫「泥だらけの純情」ですが…そうなの?)ですが、観客の感情をぐっとつかんで盛り上げる工夫はタダモノじゃないです。脚本は後にUFOでヒット作を連発するジェームス・ユン阮世生。

「トリック大作戦/整蠱專家」(91)
 これを見なきゃアンディファンとしてはモグリですよ!! このアンディを認めないようじゃ、ファンとはいえないっすよ。すごいです、この吉本新喜劇並みコメディでのアンディは。チャウ・シンチー周星馳との共演ですが、二枚目かなぐり捨ててます。もう大、大好き。夜中にビデオ見てどれだけ腹抱えて笑わしてもらったことか。周星馳に薬盛られて、映画館で隣席の人間にどうしてもキスせずにはいられない、ところがハプニングで隣は女の子ではなく周星馳その人! 口をとんがらせながらも必死に理性を働かせて顔をそむけ、それでも薬の作用に抗えずヌヌヌヌヌ…っと唇が周星馳の方へ……あああっ腹が痛くてこれ以上書けない。見てください。「少林サッカー」効果でいよいよ今年、DVD発売です!

「超級學校覇王」 (93、未)
 これを見なきゃ…と言いたい、もんのすごく言いたい!けど日本では永遠に封印された幻の"ストリート・ファイター+ドラゴンボール"B級SFコメディ。コスプレとしてはジャッキー・チョン張學友やサイモン・ヤム任達華の捨て身ぶりの方がすごいですが、アンディのキレのよい動作、恬として恥じないヒーローぶりがたまりません。

「アンディ・ラウのスター伝説/天長地久」(93)
 「欲望の翼」に納得できなかったのか、自分もレスリーのような役柄で主役を張りたかったのかと首をかしげました。王家衛の相棒ジェフ・ラウ劉鎭偉を起用し、自社(天幕)で製作した、60年代を舞台にしたレトロメロドラマ。アンディは香港のなかでも「調景嶺」という親台湾、国民党系の村出身の若者を演じます。村では長髪、寡黙な不良青年。幼馴染の少女は彼を慕っていましたが、いざこざに巻き込まれ不可抗力で人を殺したアンディは逃げるように村を脱出。少女が彼と再会したとき、彼は芸能界で売り出し中の新人スターに。少女もまた芸能界に入り、お互いパトロンがいながら密会を続けます(これは純愛とはいえまい)が、ついに破局が…悲恋に散った?彼らの半生を、二人の忘れ形見である少女が追い続けます。少女を娘同様に育てた少女の姉が、衝撃の告白を少女にします。なんとアンディ=父は生きているというのです。最愛の人の死に衝撃を受け記憶を失くし、廃人同様になって…。
 nancixは香港で、封切り間もなかった完全バージョンを看てきました。東京の映画祭で再度見たとき、あっとびっくり。最後の方の大切なプロットがばっさり切られていたからです。あのプロットがあってこその作品なのに…。

「アンディ・ラウ 天と地/天與地」(94)
 魔都・上海を舞台にした「一人アンタッチャブル」。これは台湾・台北で、封切り直後に見ました。北京語バージョンでした。これこそが天幕らしい、アンディらしい作品だと思いましたね。アンディこそ唯一無二のヒーロー役で、幼妻(なんと映画「哥哥的情人」でデビュー、トニーの妹役を演じたチェリー・チャン陳少霞ちゃん)も仲間も巨悪に立ち向かううちに犠牲にしてしまい、それでも屈せず必死の肉弾戦で憎っくき相手を倒し…。映画館内でのワイヤーワークアクションが迫力あったです。しかし、それなのに、というかやっぱりアンディ。ラストは何がどうあっても、主人公に悲劇的な死を与えないと気がすまないのです。(尊い犠牲は払ったけど、今後の人生も辛いけど、引き受けていかなきゃいけないのよね)とせっかくしみじみしたのに、なんだ結局は紋切り型の悲劇のヒーローかぁと悲しくなり…。

 他にも、細部は結構面白いのに、やっぱり何が何でも鼻血出して死なないと気がすまんのか!と呆れた異色作「 真心愛生命 (奇異旅程)」(未)や、どうしてストレートに"必殺仕事人"ペアの、組織抜け話にしてしまわなかったのか…?と謎の「キリング・アンド・ロマンス 狂気の愛/殺手的童話」、細部は結構面白いのに、なぜにこの結末…愛は全てを救うってかーの「アンディ・ラウ アルマゲドン」など、「?マークがいっぱいつく作品」はいろいろ見ました。見てるんですよ、ええ。

 見てるんだけど…アンディが真剣に、悲痛に、思い入れたっぷりに演じれば演じるほど、悲しい性格で、どうしようもなく笑えちゃうんですよ…ま、嗜好の差ってことでお許しください。
  アンディは高倉健や田村正和のように、何を演じても「劉徳華」でしかなく、別人格の他の人間になりきっているようにはどうしても見えなかった。未成年のファンに悪影響を与えるからベッドシーンや激しいラブシーンは断ると広言していた時期、坊主頭だけはもうしないとか、歌唱活動のために髪型を変えられないと言っていた時期もあり(俳優として正念場の年代なのに何を言ってんだか)としらけたものです。何人かの「自分が撮りたいテーマ、題材」を持って苦闘していた香港の映画監督も「劉徳華はねえ…起用しない」と口ごもっていました。…スター映画の重圧を逃れたかっただけかもしれませんが。

  固定イメージがあって、それが"時代の象徴”になってしまったスターは、時代が変わると"前世紀の遺物"と言われてしまいます。イーキン・チェン鄭伊健が「古惑仔(欲望の街)」連作に主演してブイブイ言わせていたとき、香港でアンディは"もはや前世紀の遺物"として揶揄されていて、何とも淋しいキモチになったものです。一方トニーは、作品ごとにイメージがくるくる変わります。髪型も服装も声の調子も変えることを辞さない。時代の象徴どころか、年齢を軽々と超えて、次は何をしてのけるのか、全く予測がつかない男優です。「花様年華」では「いつものトニーじゃないか、新鮮味なし」と苦々しげにジョニー・トゥ杜[王其]峰監督に批判されちゃいましたが…。その「いつものトニー」を、銀幕で存分に発揮させてくれたことがあったか?と反論させてもらいたかったですnancixは。

 しかしアンディもちゃんと、いかに時代の変化に対応して自分の俳優生命を永らえさせるか、いろいろ考えてきたようです。香港金像奨で念願の最優秀主演男優賞に輝いた「暗戦 デッドエンド」では犯罪者を体当たりで演じ「痩身男女」で"カッコいいアンディ"から脱皮し、最近はキックボクサーになるボディビルダーに扮する髪は剃ると、作品のためなら体当たりで何でもやってしまう心意気。彼に必要なのは「ロマンを加味して観客に愛の素晴らしさを訴えかけ…」と意見を述べる彼(もしくは取り巻き)をさえぎって「ロマンも愛もどうでもいいんだ、俺はこれを劉徳華を通して描きたいだけだ!」と突っぱねられる、それをアンディに納得させられる権限を持ったクリエイターだったのでしょう。

  アンディはすでにチャン・イーモウ張藝謀監督の新作「十面埋伏」出演のために、時間を見つけては剣戟の練習に励んでいます。トニー、ヒゲ面ぐらいで「役作り」なんて言ってられません。いや別に着ぐるみ着て張り合ってほしいわけじゃないけど。
 願わくば、とてもワガママな願いなのだけど、アンディ・ラウという存在が香港で永遠に「主流=メインストリーム」でいてほしいです。主流がブイブイ言わせていてこそ、トニーのような規格外の個性派も浮かぶ瀬があろうというものです。
  結局、nancixにとってアンディ・ラウという存在は「戦隊ヒーローものかロボットアニメの主人公」らしいのです。主人公は眉が太く鼻筋の通ったきりりとした、公明正大な正義漢。直情径行でやや危なっかしいけど、コミカルな失敗もするけど、誰もが彼の奮闘努力を認めて助ける。そして戦隊のメンバーが5人いれば、必ず1人はやや屈折した、翳りある美形です。それがトニーの役割です…でした。アンディが光り輝くほど、トニーも「アンディとは異なる」独自路線を見い出しやすいのです。トニーが主流を務めるのはあまりに重圧がありすぎ、彼を支える"静かなる反骨精神"が悲鳴を挙げることでしょう。

 そんなわけで蛇足。日本の一部メディアと90年代のファンが総出でアンディを美化してきたのには、抵抗を感じてきました。歯が浮く。nancixはファンクラブ集会にキャンプ場を選び、男子参加者と同じ宿舎で寝てしまうような気取りのないアンディがいいと思ってます。大スターとして神格化されてしまった「日本語媒体でのアンディ」は別人28号だと割り切っています。光あるところ闇もあり。清濁合わせ飲んで輝くアンディの行く末こそ、香港映画が本当に「死」に向かうか、新たな展開を見せるかを占う鍵になるでしょう。見守っていきますですよ、ええ。

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2人の基本プロフィール

アンディ・ラウとはどんな人物か?

Music File

共演作映画を振り返る
欲望の翼(90)
中環英雄(91.03、未)
蒼き獣たち(91.07)
反斗馬[馬留](93、未)

TVBドラマでの二人
猟鷹(82)
鹿鼎記(84)

nancixから見たアンディ・ラウって
馴れ初め、コンサート、歌のこと
アンディ・ラウを知るお勧め映画

台湾トークショー「小燕有約」
2人の過去と違い
アンディの人生観の変化
マギーとフェイ、"潜入"について
若手3人登場


インタビュー集
アンドリュー・ラウ監督
アンディ・ラウ

トニー&アンディ

「ハードボイルド」と比較研究!
酷似の人物相関図
徹底比較!阿浪vs阿仁
2人のトニーの演技合戦!!

「無間道II」情報
登場人物紹介とあらすじ

香港警察とマフィア
香港警察イロハのイ
本当にある潜入捜査

2003年12月 「無間道」の旅
まずは港威嘉禾で「3」を鑑賞!

 

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