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果たして日本公開がいつになるのかわかりませんが、年末年始に香港で「無間道3」を見てこようともくろむ方々のために、登場人物とあらすじを紹介しておきます。
※以下ネタバレの後を読みたい人は、その部分をドラッグして選択すると、文字が反転して読めるようになります
公式サイトと小説版を元にしているので、映画にはないシーンもあります。※DVDを見て一部書き換えました。
公式サイトや冒頭に紹介される短文は、チャールズ・ディケンズ(1812〜1870)による大河小説「二都物語」からの引用です。
フランス革命時代のパリとロンドンの二大都市を舞台に繰り広げられる歴史ロマンですが、第回香港電影金像奨で助演男優賞を獲得したアンソニー・ウォン黄秋生が以下の冒頭部分の一部を引用したことで、脚本家らにインスピレーションを与えたようです。本多顕彰訳でどうぞ。
「それはあらゆる時代を通じてもっともよい時代であるとともにもっとも悪い時代であり、賢い時代であるとともに愚かな時代でもあり、信仰の時期でもあれば、懐疑の時期でもあり、光明の時節であって、また、暗黒の時節であり、希望の春であって、また、絶望の冬でもあり、われわれの前にはあらゆるものがあるが、また、なにひとつなく、われわれはまっすぐに天国へ行きそうでいて、また、まっすぐにもうひとつの道を行きそうでもあり、――要するに、その時代は今の時代と非常によく似ていたので、当時の口うるさい権威筋のある人々は、その時代は、よいにつけ悪いにつけ、最上級の比較を用いなければ理解できないと言ってゆずらなかった。」
●登場人物簡単紹介
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■サム韓[王探]■
今回は台風の目となる30代のサム。持ち前の度胸とガッツでハンサムな秀才のウォンに勝ち、メリーの愛を獲得。倪家に仕え、忠誠を誓う。妻のメリーが密かに仕組んだ大ボスの暗殺によって微妙な立場に立たされる。ウォンとは手を結んだり断絶したりと微妙な仲。しかしメリーの死が彼の底知れぬ残忍さを呼び起こし…。
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■ウォン黄志誠■
今回は正義の人とは言い切れない行動を取る、これでも30代のウォン。いったんは少年時代にあきらめたメリーなのに、まだ未練を捨てきれない弱さ悲しさを見せる。
苦悩と慙愧のトンネルから脱したとたん、無二の親友を失うことに…。何でもいいからヤンをしっかり世話してちょーだいよ。 |
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■メリー方天梅■
まさに「極道の妻(おんな)」として暗躍する女丈夫。インテリタイプのウォンよりサムを選んだのは、彼女の野心を実現するのにぴったりな相手だったから。目的のためなら肉体を投げ出すこともいとわない。いかんせん子どもの頃から面倒をみてきたラウの慕情をうまくいなせなかったために…。
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■ウェンハウ倪永孝■
突然の父の死によって、一介の会計士からマフィア組織を率いることになり、まさに「ゴッドファーザー」の世界に突入する男。7年間そばに置いたロー・ガイ羅[奚隹]と、愛人の子なのに目をかけ続けるヤンを頼みとする。
血縁者思いだが造反者には容赦ない、まさに善と悪が表裏一体となった存在である。 |
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■ラウ劉健明■
今回はまだ小者なのに、ワルっぷりフル発揮。初恋が成就しなかった逆恨みがエライ騒ぎに。大した情報は流せていない。タイで行方不明になったサムに内心ホッとしていたのに、彼が帰還して、また無間地獄に。
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■ヤン陳永仁■
今回ますます悲惨な目に遭わされる宿命の青年。上司とサム、血を分けた兄の関係に翻弄され続け、せっかく得たささやかな愛も失うはめに。そりゃコカインに逃げたくもなるってもの。ラウが一連の悲劇の発端を作ったことも全然知らずに「インファナル・アフェア」であいまみえることになるわけだったか。
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■ソーキョン徐少強■
いきなりヤンに血まみれにされる不運なチンピラ。サムに付き従い、タイまで行って大冒険をしてしまう。ヤンは若いのに、あーたはそのままなのね(^_^;)
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■ルー・カイチョン陸啓昌■
ウォンの親友で、たえずトランプ占いで勝負を賭ける闊達な警官。不運な教え子のヤンのことも気にかけている。
殺人教唆行為を倪永孝に暴かれ、落ち込むウォンをあくまで信じ続け、励まして立ち直らせようとするが…。
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■ロー・ガイ羅[奚隹]■
腕は立つが無口で忠実、腹心にぴったりな男として永孝の信頼を勝ち得る。だがその正体は…。
ヤンに"潜入"の末路を暗示してみせた、悲運の男。ホントにセリフがなかった…。卓上カレンダーでも「……。」としか書かれてないのが笑えます。 |
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■ニー・カン倪坤■
エライ老けてますが、ヤンパパです。正妻との間に3人の息子と数人の娘をもうけた上に、ヤンの母(広東オペラ女優?)と不倫の恋に落ちてヤンが生まれる。というくだりは映画では出てこない。
粤劇を愛し、屋台の麺を好み、古きよき広東の伝統に生きた男。
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■メリー張秀[女閑]■
ラウと出会ったのは警察署内。泥酔し激情にかられて無茶をやらかした後、大泣きして警官らを困らせた少女。ホントにサミー・チェン鄭秀文に似てます。ラウは彼女に出会ってようやく心の平安を得られそうな気がするのだが…甘い。ヤンに比べてまだ地獄の味わい方が足りん(^_^;)
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■メイ蕭欣嵐■
小説では保険外交員、公式サイトではナイトクラブのホステスになっちゃってる若き日のメイ。
ハンサムで正義漢で淋しげなヤンに心惹かれ4年間付き合うが、ケンカや乱闘が絶えないチンピラぶりにすっかり嫌気がさして…。
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●あらすじは…
(■の色の部分は、小説版の記述で映画にはないくだりです)
1991年。当時の香港の黒社会を牛耳っているのはニー・カン倪坤(ジョー・チョン張同祖)だった。彼は5人の幹部に各地域を支配させていた。5人のうちの1人が、まだ30代のサム(エリック・ツァン曾志偉)だった。彼は少年時代に、同じ団地に住んで美少女メリー方天梅(カリーナ・ラウ劉嘉玲)を争った仲のウォン・チーシン黄志誠(アンソニー・ウォン黄秋生)が警察に入り、出世していくのと対抗するように、新界から尖沙咀に出て勢力を広めようとしていた。メリーは彼の妻になり、何とかサムを倪家の支配下から自由にして、さらに出世させようという野望を抱いていた。
母一人、子一人の貧しい家庭で育ったヤン陳永仁(ショーン・ユー余文楽)は、ある日母が大切にしている広東オペラの役者2人の白黒写真を見つけた。女優は紛れもなく母だった。そして男優は…やがて新聞で「黒社会の大物、倪坤が警察の事情聴取を受けた」という記事を見たヤンはショックを受ける。その男こそ、自分の父ではないかと考えていたあの男優だった。母は激しく否定するが、まもなく病に倒れる。1990年のことだった。母の病床に現れたのは確かに倪坤であり、彼はヤンより年上の次男・ウェンハウ永孝を伴っていた。ヤンは激しく父をなじり、病室から追い出す。まもなく母は亡くなり、永孝がお悔やみの小切手を持ってくる。ヤンはその小切手を破り捨て、警察学校に入学することを決意した。だが入学後、彼は警察学校の葉校長とウォンの面接試験を受け、潜入捜査に携わるのに適任だと判定される。

サムやメリーと同じ団地で育ったラウ劉健明(エディソン・チャン陳冠希)は、中学5年を終了するとサムに従い、すでに両親からも黒社会の一員だとみなされ見放されていた。家族は彼一人を残してカナダに移住する。彼はメリーを慕い、何とか彼女に気に入られようと必死だった。1991年、彼はサムから意外な任務を与えられる。警察学校に入学し、警官になれというのだ。
ウォンから倪坤の情報を聞き出したメリーは、大ボスの暗殺を決意する。1991年7月14日、彼女はサムにも告げず独断で倪坤のボディガードを買収し、ラウに命じ、行きつけの粤曲愛好クラブ?にいた倪坤を射殺させた。暗殺が成功した後、メリーは倉庫奥の居室で米国製の高価な真空管アンプ機が奏でる「被遺忘的時光」をラウに聞かせ、そのCDを与えた。
同じ頃、ヤンは駐車場で車を盗もうとしたチンピラ、ソー強(チャップマン・トー杜[ミ文]澤)を捕まえて痛めつけていた。車を盗まれかけた少女はメイという名前だった。駆けつけた刑事、ルー・カイチョン陸啓昌(フー・ジュン胡軍)はソー強を逮捕し、通報者のヤンが警察学校で半年教えた生徒だと気づく。陸はウォンの親友でもあった。
同じ夜、警察学校の葉校長(ホイ・カムフォン許金峰)は、警察関係者に42歳の誕生日を祝ってもらっていた。陸はヤンを伴ってパーティーに参加する。だが父の危篤を知らせるため永孝と部下のロー・ガイ羅[奚隹](ロイ・チョン張燿揚)がやって来たせいで、陸はヤンが永孝の血縁者であることを知ってしまった。絶望するヤン。
葉校長に呼び出されたヤンは、マフィアの大ボス・倪坤の息子だということを隠していたとされて退学処分になる。涙をひとしずくこぼすヤン。しかし"靴下を履き間違えた人"ことウォンが助け舟を出した。3年間、潜入捜査に携われば、正規の警官になれるというのだ。「僕は、善人になりたい」…自分の追い込まれた境遇に激しい怒りを覚えるヤンは、異母兄を捕らえることになっても警官になってやると決意する。その日、ラウは学校を出て行くヤンを見かけ、密かに(代わりたい)とつぶやくのだった。
数ヵ月後、ヤンはメイと旺角で再会する。彼女の中国名はシャオ・ヤンラン蕭欣嵐、保険外交員だった。ヤンは自分をボディガードだと偽るが、メイはすぐに「本当はマフィアでしょう?」と見破る。2人は交際を始め、ヤンはメイの母にも好かれるようになった。
会計士だった永孝は父の後を継ぎ、黒社会の掌握に乗り出す。当初は彼をバカにし造反しようとした幹部らも、弱みを握られ先手を打たれて従わざるを得なくなる。サムは永孝に忠実に従い、信任を得る。
1993年、チンピラの一員となっていたヤンは初めて監獄に入れられた。そこには以前、車を盗もうとしてヤンに捕まえられたソー強がいた。彼はさっそくヤンと格闘するが、コテンパンにやられてしまった。その夜、ソー強は涙にくれ、ヤンに「俺の親父が死んだのに、警察はここから出してくれない」と訴えて泣き崩れた。こうしてヤンとソー強の友情が始まる。
その後も刑務所を出入りし続ける彼に、メイは次第に怯えるようになった。父を亡くした彼女は、一家揃っての平和な生活を切望していたのだ
1995年6月。妊娠2ヶ月のメイはヤンと会い「中絶した」と告げた。「あなたの子どもを育てる自信がない。4年間付き合ってる間に、10数回もあなたを警察から保釈したわ。家族と食卓を囲んでいても、1本の電話であなたは人を斬りに行くじゃない!」となじられ、ショックを受けるヤン。ソー強がなだめるのも聞かず荒れまくる。こうしてメイとヤンは別れた。

1995年7月。着々と力をつけて来た永孝は、ついに幹部らの粛清に乗り出す。7月9日、彼は愛娘のための盛大なパーティーを邸宅で開き、ウォンの指令で三叔の部下となっていたヤンのことも、一族の一員として招待した。まず彼は「97年の香港返還を見越し、一族での外国移民を決意した」と幹部らに表明、動揺を与える。サムは「4人の幹部が必ず造反しますよ」と忠告するが、永孝はどこ吹く風でサムにタイに出張し、コカインの輸入ルートを独占するように勧めた。
ヤンから永孝の動きの報告を受けていたウォンは、親友の陸が自分をつけて来たことに驚く。陸もまた、ヤンがウォンの潜入捜査官だと知った。
7月12日、サムはソー強を伴ってタイに旅立つ。永孝の罠だと直感したメリーは空港に急ぐが、サムの飛行機の出発に間に合わなかった。
その夜、タイの麻薬ディーラーのポールとレストランで落ち合ったサムは、相手方から襲撃を受け、ポールを盾に命からがら逃げ出した。
永孝、ヤン、ロー・ガイが署に拘留されて尋問を受けている間に、4大幹部は暗殺された。永孝が白人の私立探偵2人から受け取り、警察に提供したのは1本のビデオテープだった。1995年7月11日、メリーがウォンとホテルの一室で密会し、4年前にウォンから情報を得てニー・カン倪坤を殺したこと、いま再び永孝を暗殺したいと望んでいることを告げているビデオだったのだ。陸にそのビデオを見られたウォンは青ざめる。取調室を盗聴していたラウも、その衝撃の事実を知った。メリーが危ないと直感し、警察署を飛び出すラウ。
メリーは永孝の部下の襲撃を受けた。ラウは彼女を助け出し、海辺の隠れ家に連れて行った。
ヤンは永孝に伴われ、4年前にメリーに買収され、ラウの侵入を許した父のボディガードをロー・ガイが始末するのを見せ付けられた。そして永孝は、7年間自分に忠実に従って来たロー・ガイ羅[奚隹]をウォンの潜入捜査官だと思い込み、自ら始末した。だがロー・ガイは実は、ウォンではなく陸が潜入させた捜査官なのだった。三叔に火の中に投じられるボディガードやロー・ガイの遺体を見つめ、脅えるヤン。そのとき、バイクにまたがった暗殺者が永孝を襲う。とっさに自分の体で兄に覆いかぶさり、重傷を負うヤンだった。

ビデオテープのために、親友の陸に全てを知られてしまったウォンは深く恥じ入り、その夜は自宅に引きこもって自殺さえ考える。だが外で待っていたのは、陸だった。陸の理解と励ましを得て、ウォンは警察署に出頭して全てを明らかにする決意を固める。だが先にウォンの車に乗った陸が、キーを差し込んだとき…以下ネタバレ。車は爆発、炎上。ウォンは泣き叫ぶ。永孝の仕掛けた罠だった。

ラウの助けで隠れ家に潜んだメリーは「サムがタイの中央駅で殺された」という情報にショックを受け「今夜すぐに空港に行き、タイに飛んでサムの仇を取る」とはやる。ラウは「行かないでくれ」と哀願し、恋しさのあまり彼女に抱きつくが、メリーは彼を殴りつけて厳しく叱責した。ニー・カン倪坤の暗殺犯人が自分であることを、もしもサムや永孝に知られたら…と脅えたラウは、倪家にメリーの居場所を知らせる匿名電話をかけた。啓徳空港で彼女を探すラウ。メリーがタクシーを降りたとき携帯電話が鳴った。向こう側の車の中からラウが掛けていると気づいたメリーは電話に出ない。二人が見つめ合っているときに…以下ネタバレ。車が猛スピードで彼女を轢き殺して逃げ去った。車には三叔が乗っていた。
…。
ウォンは失意のどん底に陥った。2年間の間に長い休暇を何度か取り、内部調査を受ける。やがて1997年、彼はインターポールが提供した情報で、サムがタイで生き延びていることを知る。ウォンはタイに飛び、かつての幼なじみと再会した。彼の助けでサムは倪永孝の汚職・謀殺事件の証人として香港に戻り、護衛の一人としてラウとも再び連絡を取り合うようになった。
永孝は順調に勢力を伸ばし、北京筋に取り入って政治にも関わろうとしていたが、ウォンら警察に妨害を受けた。サムの帰還を知った彼は、ヤン以外の一族をハワイに逃がす。
ヤンは殉職した陸やロー・ガイの墓碑の前で、ウォンと再会した。憎まれ口を叩きながらも2年かけて倪家の犯罪証拠をそろえた貸し金庫の鍵をウォンに渡す。「なぜ俺を許すんだ」といぶかしげなウォンに、ヤンは誇り高く言い放った。「あんたは確かに俺の父親を殺した。でも俺は警官なんだ」。
サムと永孝はヤンの目の前で、対決のときを迎える。ウォンやラウもパトカーで現場に急ぐ。永孝はタイでサムが再婚したと思い込んだ使用人の女とその娘を人質にしていたが、サムは動じない。タイでは母娘に銃を突きつけていた三叔が手下に撃たれて斃れた。サムは「俺の"友人"がいまハワイのあんたの家にいる」と告げ、携帯電話を通話状態にして、永孝に渡した。愛娘の怯えた声に顔色を変え「止めさせるんだ」と永孝は銃をサムに突きつけるが、サムは動じない。そこにウォンら警察が駆けつけた。永孝はサムを盾にし、ヤンに背を向ける。サムは挑発するように「警官諸君、撃つな、以前奴は俺を殺した、今度こそ奴に俺を撃たせろ」と叫ぶ。彼を撃ったのは…以下ネタバレウォンだった。
額を口径の小さな拳銃で撃たれた永孝は即死せず、ヤンの胸に倒れこんだ。ヤンのシャツをつかんだために、着けていた盗聴器が露わになる。永孝は信じきっていた弟にさえ裏切られた哀しみを湛え、魚眼のように濁った目をヤンに向けて死んでいった。憤怒をこめてヤンが見やったのは、果たしてサムだったのかウォンだったのか…。
ウォンが確かめたときは「脅しただけだ」と言い張ったサムだが、結局サムの"タイの友人"らは、ハワイで倪一族6人を銃殺した。ヤンは全ての係累を失い、天涯孤独の身となった…。
1997年7月1日。雨の夜。香港人にとって忘れることのできない「中国回帰」のこの日、西九龍警察署では旗の架け替え、紋章や徽章の付け替えが着々と進んでいた。ハワイで殺された倪一族6人の現場写真を見つめていたウォンは、壁の永孝の写真をサムの写真に張り替えた。今後追い求める標的は、サムになるのだ。
サムは窓辺から花火を眺め、在りし日のメリーを回想して涙する。涙を拭いた彼はプライベートパーティーに赴く。彼は倪一族のうちヤンだけは生かして手元に置き、ソー強の部下にすることを決めていた。満足そうに祝杯を挙げるサムだった。97年以後の香港の暗部は、彼が牛耳るのだ…。フェリー乗り場からソー強の車に乗り込んだヤンは、何も知らないソー強に、サムの下に付くように勧められる。
昇進し、見習い係長となったラウは署内で少女メリー張秀[女閑]を見かける。泥酔して事情聴取ができない彼女に、ラウは「お嬢さん、名前は?」と尋ねた。彼女の英文名を聞いてギョッとするラウ。だが彼女は3歳年下の貿易会社の社員で、同僚だった恋人に裏切られて無茶をしでかしたのだった。ラウの支えで、傷を負った小動物のような彼女は明るさを取り戻す。愛情小説を書く彼女のために、ラウは出版社に交渉して宣伝費や印刷費を負担、彼女の小説を出版させた。3作目で彼女は女流作家として有名になる。
というわけで、以下「インファナル・アフェア」「無間道III終極無間」につながるわけです。
【nancixの独り言】
そうなるんじゃないかと薄々思ってたけど、やっぱり第2作は同じアンドリュー・ラウ劉偉強監督の「欲望の街/古惑仔」シリーズのテツを踏んでますねえ。あのシリーズって、やっぱり原作劇画と実写を見事に組み合わせ、新しい息吹を吹き込んだ第1作「欲望の街/古惑仔1 銅鑼灣の風/古惑仔之人在江湖」(96)が、いちばん面白くて斬新だったんですよね。香港・尖沙咀か旺角の混雑した映画館で、座席の背に足上げて座り携帯で話しまくる、女連れの古惑仔らと一緒に見たけど。
ウォン・カーワイの何だかよくわからんゲージツ作品(と、当時ほとんどの香港人は思っていた)にも、王晶のコテコテダサダサワンパターンギャグ香港コメディにもいまいち乗り切れない香港の若者の間に爆発的ヒットを巻き起こすだけの身近な等身大のファッショナブルさを持ってました。経験も地位も名声も足りない若者たちが、互いの信頼と友情だけを頼りに危機を切り抜けて小気味よくのし上がっていく姿が魅力的に描かれていたんです。ウォン・カーワイ作品が雑誌「CUT」で王晶作品がマンガ雑誌「ヤングジャンプ」だとしたら、古惑仔シリーズは雑誌「SPA!」っぽかったんですよね。気取らず下世話で単純明快 。
イーキン・チェン鄭伊健、渋谷にも毎晩たむろしてそうなストリートキッズそのもののチャン・シウチョン陳小春やマイケル・チェー謝天華、ジェイソン・チュー朱永棠、メガネデブちゃんのジェリー・ラム林暁峰(映画「裏町の聖者」でデビューしたばかり)という、TVドラマでも映画でも手垢のついてないキャストを揃えた青春群像劇。とはいえ彼らのキャラクターは原作劇画の登場人物の域を出ず類型的。当初はシリーズにするつもりもなかったので、ジェイソン君なんて殺されちゃってて、2作目からはそっくりの役名の別人として登場します。
でもま、ヒットしちゃったんですよ第1作。そうするとそれっと早撮りの劉偉強監督、マンガと若者トレンドに詳しい元映画評論家の切れ者マンフレッド・ウォン文雋、ヒットメーカーの王晶は3人で新会社「BOB」を設立、1作目公開から2ヵ月後にもう第2作を公開してしまい、これまたヒットを飛ばします。3作目も同年に公開。わずか半年で3作を公開してしまったんだから、日本の2時間ドラマスペシャル並みの濫造です。どの作品だったか、撮影期間は2週間だったって言うんですから。こんなにスピーディーでシステマチックに映画を撮る芸当ができないピーター・チャン陳可辛監督らへのプレッシャーが強まり、良心作の作り手たちは困ってたみたいです、もう時効だから言っちゃうけど。
「欲望の街」シリーズを支えたのは、主人公の魅力というより毎回これでもかこれでもかというほど出現した濃〜い、異常すぎる、おっそろし過ぎる強敵たちでした。イーキンらを分断し、罠にかけ、出し抜き、楽しげに笑いながら苦しめ人非人になりきる連中を演じたのは、第1作がン・ジャンユー呉鎭宇、第2作が直接の敵ではないけど強大なライバルの"鼻くそほじりのアンソニー・ウォン黄秋生"、第3作がロイ・チョン張燿揚。そう、劉偉強監督の人脈で、この「無間道2」に彼らが総出演です。そりゃ若造のエディソンもショーンも霞みますったら。
ロイさんなんて「新・欲望の街T 古惑仔疾風、再び/古惑仔3之隻手遮天」(96)と「新・欲望の街U 97古惑仔最終章/97古惑仔獸無不勝」(97)に、別の悪役で出ていてややこしいったら。ン・ジャンユー呉鎭宇さんの場合、第1作の役があまりにすごかったんで、スピンアウトして「旺角[手/査]Fit人」(96)という外伝で同じ役のまま主役に直りましたですよ。映画評論家学会の最優秀男優賞も受賞し、映画俳優として花開いたんです。
監督にしてみれば、アンディ&トニーの金看板を使わなければならなかった1と3よりも、自分のおなじみ男優らを動かせる2の方がプレッシャーが少なくて撮りやすかったようです。
という過去を踏まえて「無間道II」を眺めれば…第1作目のメガヒットでそれっと作ったにしては、3年前から練っていたというシノプシスのおかげで「欲望の街」シリーズよりは骨格のしっかりとした、重厚な物語が展開してます。香港経済がブイブイ言わせてた90年代を、マフィア一家の興亡を通して描こうという劉偉強監督らのもくろみは、携帯電話など小道具では何とかなってたし、背景もうまく選んでどうにか90年代には見えました。当時はなかったビルをCGで消したり電飾を変えたり2階建てバス内部を変えたりできないけどね。90年代香港を何度となく訪れた人間としては、複雑な気持ちです。
群像劇ではあるけど、物語のキーパーソンは、ウォンら警察にとってもサムらにとっても強大な敵の倪永孝。おなじみサム(ちゃんと若返って見えたから、エリック・ツァンはすごい!)やウォンもさることながら、彼の人物像がどれだけ深く描かれているかが勝負です。演技力は文句なしのン・ジャンユー呉鎭宇さんですが、彼だって脚本と演出がよくなければ輝けない。インテリで表稼業では名士という役どころらしく、あくまで声がソフト(猫なで声? 確かジャンユーさんの地声は野太くてしゃがれているはず)で、感情を抑えているのが芸達者を感じさせました。非情なマフィアでありながら、ヤンにとっては保護してくれる兄でもある。彼だけでなく、登場人物全員が善でもあり悪でもあり…どちらかというと悪の要素を前面に押し出してる。つまり善人は早死にし、悪知恵の働く人間しか生き残れないのですわ。だから後味悪い。それがネック。
せっかく中国から呼んで来た映画「藍宇」の胡軍さんですが、中国人という設定ではないのかな? 広東語は吹き替え? 身長がアンソニー・ウォンに負けてないのと、誠実朴訥信頼できそうないかにも警官らしい容姿からキャスティングされたのでしょうか。
驚いたのが、郊外(新界?)の椰子の木の間を歩くエディソン・チャンの背中をハンディカメラで捉えたスローのショットが「欲望の翼」でレスリーがフィリピンの密林を、生みの母に背を向けて去るシーンにそっくりだったこと。メイキングを見る限り、このシーンの撮影はドイルではありませんでした。レスリーがフラッシュバックして、不意打ちに思わず放心状態になってしまった……
そしてショーン・ユー余文楽。香港の映画評では、イメージダウンも何のそので目つきの悪さを発揮したエディソンに比べて評価が低かったのですが、nancixは彼の無垢でまっすぐなまなざしに惚れました。どこまでも傍観者でいなければならない立場の彼は、あれくらい透明でなくてはならないのです。一途で純粋な少年が、運命に玩ばれてどんどん悲痛な色でそのまなざしを染めていく…だからこそ、ヤンの短い生涯が際立つわけで。トニーの、ソフトな中に刃物を潜ませた鋭さやふてぶてしさ、世捨て人っぽいニヒルさとは一味違う魅力を感じましたです。異母兄だってウォンだって陸さんだって、そりゃかばいたくなるってもんです。抱きついて号泣するソー強、羨ましいぞ、代わってくれえ(アホ)。
それに、トニーが無意識に口元に手をやるクセや車内での仕草をうまく模倣しています。身長まではさすがに縮められませんが(^_^;)、相当トニーを研究したみたいです。今後の成長が楽しみだなあ。
エディソンはねえ…悪すぎ…かも。アンディのあの快活で自在で、人を騙しても騙したように思わせない部分が全然感じられなくて、こりゃー油断ならんとしか思えない若造です。
今さら香港版「ゴッドファーザー」でもないでしょうに、と思う人は受け付けないだろうし、劉偉強系列香港映画特有の”一族皆殺し”の凄惨さは、決してグローバル・スタンダードになりえないと思いますです。特に劉偉強作品は女に手厳しいです。サディストか女嫌いかと疑うほど、ヒロインらを酷い目に遭わせます。イーキン最初の恋人、ライ・チー黎姿ちゃんも酷い目に遭い、イーキンの目の前であっけなく死んじゃったもんなあ。今回のカリーナも…… 。
nancixは、とりあえず「無間道3」での、ケリー・チャン陳慧琳の無事を祈りますですわ 
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