有情飲水飽タイトル

 有情飲水飽は「愛があれば、お金がなくて水を飲んでも満腹できる」、つまり愛さえあれば水腹でも平気、という意味のようだ。英語題のLove me Love My Moneyは、いかにも金と権力で女優のつまみ食いを繰り返しながらみんな青年実業家に取られちゃった王晶が言い出しそうなこと(^_^;)

有情飲水飽Stuff&Actors

香港版ポスター?
香港版ポスター?より

香港上映期間:2001年10月18日〜11月8日(21日間) 興収:467万2611香港ドル
製作総指揮:王晶/監督:王晶/脚本:王晶/撮影:ディック・トン董偉強/美術:チョン・コッウィン荘國榮

キャスト:
トニー・レオン(リチャード・マー馬須仁)、シュウ・ケイ舒淇(阿彩)、ラム・ガートン林家楝(Tom任察)、テレサ・マク麥家h(コーラ・フォン歌羅芳)、ウォン・ヤッフェイ黄一飛(亞彩の父の炮仗叔)、葉景文(アレックス・マー、リチャードの父)、エヴァ・ウォン(マーシャ)ディック・トン董偉強(阿彩の会社の社長)
友情出演:アンジー・チョン張慧儀(セラピストのエンゼル・ラム)、ジョジョ・カオ曹衆(秘書のヘレナ)、ヘレン・プン潘冰嫦(リチャードの母)
配給・製作:電影動力有限公司

有情飲水飽STORY
 
プールで歯磨きするトニー
プールで歯磨き。このシーンは本編になし。

蛇だ!
「蛇だ!わああ!噛まれるううう」

蛇なんか怖くないわよん
「蛇なんて怖くないわよー」


アイスキャンデーを食いながら、
阿彩の父を騙すパーティー作戦を練る二人。


同僚で親友のコーラと阿彩。

マーシャと阿彩、フォークで決闘!?

 ボクは馬須仁、リチャード・マーというが、リチャードと呼ばれるのが好きだ。須仁は広東語で「衰人(ずるい人)」と同じ発音になってしまうから。
 ボクは ニューヨークで企業買収・合併吸収の橋渡しをする事業で若くして成功を収め、タイムやニューズウィークやピープル誌にも紹介された。トム・ヤムは僕の同級生で親友で法律顧問。20数年の付き合いで、ボクの香港の事業はもっぱらトムと秘書のヘレナ・ハーに任せてきた。ヘレナに確認すると、ボクの香港での3年間の収益は、利息だけでも927万5622.4香港ドル(約1億4千万円)だ。
  香港・西貢にある自宅には、2年付き合って自宅の管理を任せたガールフレンドのマーシャが待っていた。僕の顔を見たとたん、彼女は米国に移住した母が病気になって50万ドル必要だ、と嘘泣きをする。僕は理屈を説いて金はやらないと言った。すると彼女は憤然として出て行った。

 ボクが次にしたのは、トムとヘレナを引き連れ僕の会社に乗り込んでリストラを敢行すること。受付係も経理担当者も、目に入った社員はみな即刻リストラした。ヘレナは「6年間昇給がない、私にもプライベートタイムが必要です」と文句を言い、言い返すと「私は5年間休暇なしに働いてきたのよ! 今日限りで辞める!」とヒステリーを起こして出て行った。やれやれ。

 僕の父が一生のうちに僕に教えたことは一つだけ。「女に対して慷慨(怒り嘆く)するな」ってことだ。父は僕の母だけを愛し、尽くしまくって欲しいものは何でも買ってやった。それなのに、母は「退屈だから絵画が習いたい」とせがんだ。父は八方に手を回して画家を家庭教師に雇った。すると二人は、絵を描き終わるやベッドに直行した。母はこの画家と駆け落ちしたがり、父は彼らが食い詰めるのを恐れて彼らにフラットをプレゼントした。
  結果は? 父はいま60数歳で現役を退いた。ロンドン大学に留学して学位を取った立派な紳士なのに、水道管が故障するたび母は「修理してちょうだい」と電話1本で父を呼び寄せるんだ。だから、女によくしてやることなんかない。結局は金目当てなんだから。決して彼女らに騙されて金を奪われないことだ。

 トムは「君が毎年ガールフレンドを取り替えてもおかしくないな。そんなに吝嗇(りんしょく)じゃ、誰も君について来てはくれないぞ」と忠告してくれた。だけど僕は密かに願ってる。Love is blind. Money does'nt count.中国語では「有情飲水飽」。愛さえあれば、他に何にもいらないと僕に言ってくれる女性の出現を……。

 ボクとトムは腹ごしらえをすることにした。オフィスでカップヌードル食えばいいじゃん、とボクは言ったのだが、トムがおごるというのなら話は別だ。でも中環で食べると高いからなあ。ちょっと遠出して二人でテキトーに入ったのは、蛇王林という、蛇スープが名物の大衆食堂。相席になったのは、投資コンサルタント会社の電話セールス嬢の美女二人。片方はボクの美貌にぼうっとなり(もしもこんな男が飼い犬だったらどんなに…)と妄想しながら秋波を送ってきた。彼女の名前は、麻酔薬のクロロフォルムと同じ発音のコーラ・フォン歌羅芳。トムの好みの女らしく「麻酔しなくても見るだけで気絶しそうにいい女だ」とボクに耳打ちしてきた。好き者め。
 彼女の連れは阿彩。コーラよりボク好みだ。ボクらはそのとき知らなかったが、彼女は十四郷沙牛角村の村長の愛娘で、同郷の太っちょで薄らバカの阿牛に追い掛け回されて、ほとほと困っていた。父は「同郷の男と結婚するのが幸せだ」と言ってきかず、台湾出身の母も亡くなって、誰も彼女をかばってはくれない。阿牛は蛇が苦手なので、この1週間というもの彼女らはランチを蛇王林で取っていたのだ。
 店員がうっかり逃がした毒蛇が、逃げ遅れたボクの股間に迫った。床にしりもちをついて悲鳴をあげるボク。ところが阿彩は難なく蛇をつかんで店員に返した。肝が据わった女だなあ。

 その夜、ボクとトムは友人が新装オープンしたバーに祝いに行った。そこで再会したのがコーラと阿彩。賭けに負けた僕らは、2人を夜食に連れて行く。ところが彼女らは遠慮ってものを知らず、高価なロブスター刺身や海鮮料理をバンバン頼む。コーラを酔い潰すことに失敗したトムはへべれけ。ボクがゴールドカードで支払おうとすると、ウェイター長が2枚とも使えないという。手持ちの現金はあと600数ドル足りない。トムは飲酒運転でさっさと帰ってしまった。おいおい! ウェイター長がしつこく食い下がる。仕方なく、ボクは阿彩に借金してしまった。
 自宅に戻ると真っ暗。家具もきれいさっぱり無くなっていた。マーシャの仕返しだ。彼女はボクのクレジットカードの契約を全て解除し、家具を老人ホームに寄付してしまったのだ。彼女の捨て台詞を、ソニーのデジタルビデオカメラが録画していた。

 翌日、昼下がりまでかかってオンボロ自転車で出勤してみると、会社の玄関は鍵が閉まっていて誰もいない。警備員に聞くと、昨日社長が全社員を解雇したんだという。鍵はヘレンが持っていて、彼女は昨日のうちにヨーロッパ旅行に出発してしまった。彼女からの辞職願いがガラス扉にはさんであった。何てこったい。
  銀行も2時で閉まり、間に合わなかったボクは途方にくれた。たちまちリッチなエリートは一文なしのビンボー人と化してしまった。トムは夕べ飲酒運転で帰る途中、事故を起こして、九龍半島側に入院中。ボクにはフェリーや地下鉄に乗る小銭もない。以前のガールフレンドを何とか呼び出してみると、彼女は子連れの妊婦。借金するところを阿彩とコーラに見つかり、ハンサムなのを武器に女を食い物にする卑劣なヒモだと誤解され「貸した600ドルを返せ」となじられてしまった。一応返したが、そこに現われたのが阿牛。阿彩はとっさにボクをボーイフレンドに仕立てることにし、600ドルが戻ってきた。ボクは彼女に調子を合わせ、阿牛を追い返した。
 やっとトムに面会すると、1晩だけ様子を見て退院できそうだと言う。病院に付き添いとして泊まらせてもらおうとすると、隣のベッドのオバサンの子供がスペースを分捕っていた。その子供というのがムキムキのマッチョマン2人…やれやれ、今夜はどこに泊まらせてもらえばいいんだ? 思い出したのがコーラの電話番号だった。

 阿彩が里帰りすると、父が阿牛との結婚話を持ち出す。都会暮らしを捨てたくない彼女は仕方なく、父親に「もう付き合っているエグセクティブがいるのよ」と恋人をでっち上げてしまった。すると父はその男を明晩、村に連れて来いと言う。困り果てる阿彩。
 阿彩がコーラと同居するフラットに戻ってみると、なんとボクがソファーで寝ていた。彼女は気を悪くするが、コーラに「彼は一文なしになったみたいよ」と聞かされると「じゃあ6000ドルで私の恋人のふりをしない?」とボクに持ちかけてきた。うまい話だ、この際1万ドルならやってもいいぜ。

 阿彩の実家に到着すると、なんと振られた阿牛とその父親もあきらめきれずにボクらを待ち構えていた。何とかボクを追い返したい彼らは、カードゲームでの賭けをボクに持ちかけた。ボクは気が進まないが、阿彩と組んで挑戦する。最初はボロ負け、借金がかさむばかり。ところが最後にツキが回ってきた。大勝利を収めたボクらに、阿牛は逆上して阿彩の父をなじり、両家は絶交することに。これで阿彩の結婚話も白紙に戻った。
 二人並んで月を見上げながら、阿彩は思い出を話す。台湾出身の母は、腕白な10歳の彼女に「1年間いい子にしていたら、きっとおまえの誕生日に飛行船が迎えに来て、おまえを大観覧車やメリーゴーランドのある場所に連れてってくれるよ」と話してくれた。だが母は病気で入院、そのまま戻らず、彼女の夢はかなわなかった…。なんていじらしい女性なんだろう。ボクの胸はきゅんとなった。

 退院したトムは老人ホームを回って、ボクの自宅の家具を何とか回収してきてくれた。彼はマーシャが残したデジタルビデオカメラを弄びながら、ボクと阿彩について語り合った。ボクは言った。「今まで、ボクの金でなくボク自身を愛して一緒にいてくれる女に出会ったことがない。ところが阿彩はボクを小市民だと信じてる。この感じはとてもいい」。トムは「でも君はいま、彼女を騙しているんだぜ」と心配する。なあに、女は男に騙されることなんか気にしないさ。大事なのは、彼女にボクが金持ちだと知られないことだけだ。もしも残酷な事実を彼女に告げたら、待っているのはどうぜ別離だけだ。

 なんと、トムの事務所に阿彩の父が現われた。ボクのことを気に入ったが、ぜひボクの両親に会って挨拶し、筋を通したいと言うのだ。阿彩は不安がるが、ボクは阿彩に「ボクの友人の映画プロデューサーに頼んで、場所とエキストラを用意するから大丈夫」と告げた。ボクの自宅に集まったのは、実は父とボクら親子の知人ばかり。母親は愛人の画家まで連れてきた。阿彩はボクの複雑な家庭事情を知るが、少しも態度を変えなかった。父と阿彩の父はすっかり意気投合。下手な替え歌まで披露する始末だ。ボクと阿彩はダンスし、いい気持ちで抱き合った。二人はそのままベッドイン。満ち足りた一夜を過ごした。

 翌朝。ボクより先に目覚めた阿彩は階下に降り、夕べのパーティーの映像を見ようと、あのデジタルビデオカメラを再生した。ところが映像の最後には、ボクとトムの会話が残っていたのだ。「なあに、女は男に騙されることなんか気にしないさ。大事なのは、彼女にボクが金持ちだと知られないことだけだ…」。ボクの嘘を知り、傷ついた阿彩。そこへ、なんとマーシャが乗り込んできた。彼女は「別れたのではなく、家出しただけよ!」と図々しく主張する。二人の前から逃げ出そうとしたボクは捕まり、マーシャも傷心の阿彩も飛び出して行った。「私は信じた男に騙されたら気にするわ!」と、ボクが彼女をもてあそんだと誤解したままで。ボクは二人の女にフォークで尻を刺されてしまった。あんまりじゃないか…。
 朝になっても会議室でコーラと励んでいたトムに相談していると、ボクの父から電話が入った。ボクは仕事の都合で、どうしても今夜、ニューヨークに出発しなければならなくなった。あと14時間で、彼女に謝って愛を告白できるか?

  ボクとトムは、阿彩とコーラの職場に乗り込んだ。「どうして私に本当のことを話してくれなかったの?」となじる彼女に、ボクは懸命に言い訳したが、彼女の怒りが爆発。ボクはみじめにもノサれてしまった…。だがコーラのとりなしで、ボクは今夜、火鍋レストランで彼女と再び話し合うことになった。

 コーラはボクの財力を当てにして、勝手にレストランを借りきっていた。ボクはトムと阿彩の父と一緒に阿彩の前に現われた。いくら何でも父親の前で暴力はふるえないだろう。ボクは彼女の村に、遊園地を作ろうと言った。「君のためなら、君の母が言った言葉をボクがかなえるよ」。そこに、以前ボクに現金で払えと言った失礼なウエイター長が登場。 コーラが勝手に注文したロブスターの刺身や神戸牛のような高価な材料を運んで来て「勘定は8万8ドルだ、てめえ払えるんだろうな」と言いやがった。ボクは思わずカッとなり、阿彩の制止も聞かずウェイター長と取っ組み合いの喧嘩をおっぱじめた。
 トムらの仲裁で、ボクは我に返った。だが阿彩は憤然として出て行き、もうどこにもいない。コーラとトムも「仕事がいちばん大事なんだろ、行けよ」と冷たい。がっくりしたボクは阿彩に心を残しながら、ニューヨークに旅立った…。

 ニューヨークで、ボクはチャイニーズ女性セラピストのエンゼル・ラムにカウンセリングを受けた。ボクは自分の資産について、利息だけでも2億香港ドルあると素直に答えた。彼女は「まずあなたが知らなければならないのは、お金を持つことがあなたを幸せにするのではなく、お金を使うことであなたを幸せにできるということです」と言った。そのとおりかもしれない。ところが彼女は、カウチに横たわるボクに服を脱いで迫ってきた。いやそりゃ据え膳食わぬは男の恥だけど、ちょっと待て〜! ボクはもうこんなことにはうんざりなんだああ! 助けてえええ!
 …結局ボクはセラピストに強姦(?)されてしまった。以後、ボクはみだりに自分の資産について口に出さないことを決意した。ああ、やっぱり阿彩が恋しい。あきらめきれない。早く香港に戻りたいが、彼女にはもう新しい恋人ができたんじゃないだろうか…。

(下の色文字をクリックすると、ラストまで読めます。
もう一度クリックするとラスト部分が消えます。)


註:この物語はレオン・ライ&マギー・チョンの「ひとめぼれ」やアンディ・ラウ&張敏の「與龍共舞」やトニー&チンミー・ヤウの「偸偸愛イ尓」、ましてや「同居蜜友」「ゴージャス」のパクリではありません(^_^;)
有情飲水飽View Point


「ゴージャス」を経てやっと恋人役に


これが問題の
「コーラが妄想する、犬になったトニー」
…泣くしかない(-_-;)

・王晶は香港の階級社会に何の疑いももたず、のうのうと保守的なシンデレラストーリーを繰り返し描いてきた。まさしく「與龍共舞」「偸偸愛イ尓」「ひとめぼれ」、みーんなあらすじは同じ。金持ちの青年がふとした弾みで経済的、身分的危機に陥り、身をやつして貧乏人のコミュニティに転がり込む。そこで出会った貧乏人の美しい少女に一目ぼれする。彼女は天使か女神のようにいつも彼を明るく励まし、勇気付ける。あるいは身を挺して彼を守る。二人の心が接近したとき、青年の正体がばれる。日本なら、そこでめでたしめでたしである。ところが王晶描く香港女性ときたら、がむしゃらに怒る。青年をまったく信頼することなく「私を騙してもてあそんだのね!ヒドイわ、あんまりよ!!」と怒り狂い、彼の言い分も聞かずにさっさと姿を消してしまうのだ。そりゃあんまりではないか?

・青年は金にものを言わせてものすごい勢いで彼女を追い求める。以前の作品ではビルに探し人の垂れ幕を出す、テレビ広告を打つ、巨大看板を出すなんて朝飯前。今回もテレビ局ジャックに飛行船チャーターときた。

・最後は青年が真心・愛・生命(^_^;)をたっぷり表現して、彼女のハートを再び射止め、大団円と。このあらすじを、王晶は繰り返し若手映画人にコピーして渡して撮影させてるんじゃないだろーか。 夢の王子様がアンディかレオンかトニーか、ヒロインがチンミー・ヤウか張敏かスー・チーちゃんかの違いだけである。やれやれ、もうそんなおとぎ話が通用する無垢な観客はいない時代なのになあ。

・国際空港から香港市街地までの風景から始まり、トニーのモノローグから物語が始まるこの技法、何だか以前もトニー主演映画で見たような気が…。「君を見つけた25時」?

・「ゴージャス」ではジャッキー・チェン成龍が邪魔で、いえ失礼、恋人役ができなかったトニーとスー・チー。今回は互角の男女を演じた。年齢差に違和感なし。

・トム役の林家棟はTVBドラマ「美麗的人生」の主演男優。決してハンサムではなく、人のよさそうな2枚目半である。何でもTVBの安いギャラにほとほとうんざりして映画界入りを狙っているとか。こういうタイプが王晶の思うツボである。まあしっかり稼ぎなはれ。

・テレサ・マク麥家hは「キング・オブ・ギャンブラー/神龍賭聖之旗開得勝」でトニーの怠惰でぐーたらな妹役を演じていたのだが、出番が少なくほとんど印象にない。その後「古惑仔」ブームのなかでは、頭を剃ってしまう、レイプされる役を引き受けるなど、大胆な役作りで話題をさらった。今回は舒淇ちゃんの引き立て役なせいか、何だか色黒に見える。さすがにプロポーション抜群だが、お色気要員にされてて可哀想。

・舒淇ちゃんはいまだに広東語の発音がおかしいのか? 母親が台湾出身で夫婦喧嘩して里に連れて行ったので、戻ってみたら広東語が中途半端になってしまったと父親に嘆かせている。

・子連れの妊婦(昔のガールフレンド)に金をもらうリチャードの姿に、憤然とする阿彩とコーラが言うのが「吃(食)軟飯」「軟飯皇」。これって「女にまでたかるヒモ、ごくつぶし」の形容詞だそうだ。リチャードは彼女らに罵られて茫然と「…ボクにヒモの素質が潜在していたなんて」とぼやくのだった。…いやー、トニー自身にも素質がないことはないんだけど、家庭教育がよかったからねー(^_^;)

・リチャードの中国名「須(seoi1)仁(jan4)」は、発音が「そいやん」で、間抜け、バカを言う「ソー(so4)人(jan4)」と似た発音。だから彼は中国名で呼ばれると、いちいち「リチャードと呼んでくれ」と要求する。しかし、怒った舒淇ちゃんは「アンタなんかソー人というより衰(seoi1)人(jan4)(ソイヤン)だわ!」と怒鳴る。衰人はずるい悪人の意味ね。そ、それを言ったらおしまいよ…コーラ・フォンがクロロフォルムと同じ発音だとか、オヤジギャグ並みの言葉遊びが相変わらずの王晶映画である。

・阿彩の出身地、十四郷沙牛角村って、もしかして家父長制が残っていて男尊女卑思想が色濃く「娘に財産継承権がない」ということが男女平等をうたう法律に違反すると問題になった村がモデルなのだろうか? だいぶ前に話題になってたはずだが、いまだ係争中?
・ラスト近くにオフィシャルスポンサーのモトローラ社の携帯電話が登場する。なかなかカッコいいボディだ。液晶画面こそ白黒だが、 「電郵:Richard ○○○…」と携帯メールの文字を表示するスグレモノ。繁体字と簡体字と英語の併行利用という問題があって、日本ほど携帯メールや携帯ネットのモバイルが普及していなかった香港だが、最近はカラー液晶の携帯電話機も登場してるらしい。こんなふうにトレンドウォッチングするのも、香港現代ラブストーリーを見る楽しみの一つなのさ。
「PT100」の飛行船
・この映画の最後に登場する飛行船には「www.pt100.com.hk」と大書してある。アクセスしてみると、VISAとも提携しているクレジットカードPlatinum Cardsの宣伝サイトだった。香港初の飛行船は、昨年8月27日に香港でのフライトを開始、11月16日で香港を離れたそうである。くっすん。この映画にも登場するよ、とサイトのどっかに書いておいてほしかったなあ。

・正直いって、トニーの演じるリチャードはnancixから見ると鼻持ちならない男である。両親の事情が幼い彼の心を傷つけたとしても、だからって周囲に群がってくるバカ女に当り散らして何になる。香港の社員らを第一印象だけで解雇するなんて、「Time」「Newsweek」に掲載されるやり手ビジネスマンのすることではない。金にあかせて飛行船雇って舒淇ちゃんを迎えに来て、それで「君の夢をこれでかなえたよ、さあボクを愛して」なんて冗談じゃないよ! 幼稚にもホドがある。これが香港ビジネスマンの実像を少しでも映し出しているというなら、幻滅だなあ。
  怒鳴るかカッとして殴るシーンがやたら多い舒淇ちゃんも、他作品ほど魅力的だとは思えない。同じ地方出身者なら「ゴージャス」のヒロイン阿不の方がよほどキュート。貪欲で好色さを隠さないコーラとの対比のおかげで、やっと普通に見えるだけだ。

・この作品のあまりの不入りと上映打ち切りに激怒した電影動力有限公司の女ボス、モナ・フォン方逸華(66)は、王晶に全ての責任をひっかぶせて会社から追い出してしまったとか。王晶は離職するや、マレーシアの財団「星藝影畫」公司の製作プロデューサーに転じると10月26日に宣言。電影動力は突然王晶が去ったことで大混乱に陥り、進行中の映画企画は全てストップ。モナ・フォンの心情が平静に戻ってから、改めて会社組織を組み直して平常業務に戻すことになった。その後はどうなったことやら。
 モナ・フォンは元美人歌手でいまや辣腕映画人。ツイ・ハークやアン・ホイ、メイベル・チャンらの資質を見抜いてチャンスを与えた人物として知られ、ショー・ブラザース&TVB主席で90歳のランラン・ショーと40年越しの愛を実らせ1997年に結婚した。もちろんランラン・ショーは再婚である。ドラマ「影城大享」ではカリーナ・ラウがモナの役を演じた。ショー・ブラザーズではモナが女優達のキャスト決定権と金庫を掌握、その権力を濫用して女優を冷遇し、自分の気に入った男優を優遇するなど、完全にショウ・ブラザーズを私物化していたのが実像だとか…。

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