同居蜜友タイトル

 同居は日本と全く同じ意味。蜜友はスイートメイトという意味も含め、友達以上恋人未満という雰囲気の二人を指すのか。ただし3月に製作発表されたときの題名は101回目のプロポーズならぬ「一千零一次求婚」だった…トホホ。

同居蜜友Stuff&Actors

香港版DVDジャケット。
なぜ乾燥機だか洗濯機だかの上に
二人は座っているのか、それが謎。

香港上映期間:2001年6月9日〜7月12日(34日間) 興収:1820万香港ドル
製作総指揮:王晶/プロデュース:カール・チョン張承[襄力]/監督・脚本:ジョー・マー馬偉豪/原案:シンディ・タンケ潔明ほか/共同脚本:オーブリー・ラム林愛華、トーレス・チョウ周燕嫻/撮影:チョン・マンポー張文寶/美術:デニー・リー

キャスト:
トニー・レオン(トンチョイこと蒋通菜)、サミー・チェン鄭秀文(デボラこと霍少棠)、ニキ・チャウ周麗[王其](ミンディー)、リー・ファン李楓(通菜の母親)、ウィンストン・イップ葉景文(デボラの父)、ジャニータ・チェン茜莉妹(フィリピン人メイドのネイル)、サミー・レオン森美(ケビン)、ハー・ピン夏萍(スープ屋の女将)ジョー・リー李耀明(トンチョイの友人金毛尋)、チャン・マンライ陳萬雷(吉利清湯[月南]の従業員ルイ)
配給:天下電影公司
製作:
清新空気・小馬哥公司/電影動力有限公司
100分
主題歌:「醫生與我」サミー・チェン(MTVも映画の数シーンで構成)
その他の挿入曲:「When love feeling comes」アマンダ・ホー
「Looking for a good man」Cordelia Challote Nam
「Being Sexy」Julia Ip
日本公開2002年8月2日(キング・レコード配給)
渋谷シネパレスでレイトショー

同居蜜友STORY
酔っ払いトニー…ご機嫌。
酔っ払いトニー…ご機嫌。

病院で再会する二人
病院で再会する二人

サミーの額に薬を塗るトニー
サミーの額に香水?を塗るトニー
(エンディングにやっと出てくる)

年下女に振り回されるトニー
年下女に振り回されるトニー…

サミーにキスされうろたえるトニー
サミーにキスされうろたえるトニー

嫌な女が実に巧かったニキ・チャウ
嫌な女が実に巧かったニキ・チャウ

 下町の有名な牛バラ煮込み店「吉利清湯[月南]」の3代目、長男のチョン・トンチョイ蒋通菜は、母親を車で病院に連れて行く途中で、デボラことフォッシウトン霍少棠の車に接触し、サイドミラーをもぎ取られた。カッとなった通菜は病院駐車場で彼女を脅すが、少棠はひるまない。通菜は却って自分の足を傷つけたあげく、駆けつけた警官には示談を勧められ余計むしゃくしゃする。

 少棠は、同級生の阿寶と夫の陳大興が夫妻で経営するアンダーソン貿易会社で、統括マネージャーを務めるやり手。ヘビースモーカーでタバコをふかし、ハスキー声で粗野な言葉を吐き、大酒飲みの豪胆な女だ。職場ではずけずけと言いたい放題のため、同僚には煙たがられている。だが彼女は伝統的な男尊女卑の潮州人家庭に育ち、年老いた父は仕事にかまけて家事を一切しない娘よりも、飼い犬を溺愛する始末。少棠は心に寂しさを抱えながら、余計に強がり突っ張るタイプだった。

 少棠は友人の華祥弁護士を立てて通菜に電話で連絡するが、短気な彼は「弁護士を間に立てるたあ、上流社会の人間のようなことをするじゃねえか!」と態度を硬化させ、尖沙咀のカラオケ店に示談金をもってこいと怒鳴った。彼が本当にヤクザだったときの用心のため、弁護士の友人とコワモテの対暴力団対策班のCID、麥刑事について来てもらってカラオケ店へ。ところが泥酔した通菜は上機嫌で、周囲のだれかれ構わず謝り倒し、脅すどころか少棠に示談金を払う始末。いつのまにかゲーム大会と化してしまい、勢いで二人はそのままラブホテルに行き、一夜を過ごしてしまった。
 だが通菜にはキュートなタレントのガールフレンド・ミンディーがいる。それを言わず、別れ際に「電話するよ」と言った彼を信じて数日後に電話してみた少棠だが、折り悪しく通菜はミンディーを空港に送るところだった。必死にしらばくれる通菜。少棠はがっかりして電話を切る。

 職場で突然、海外に行っていた経営者の陳大興に「会社に損失を与えた」と言いがかりをつけられた少棠は、彼の妻の阿寶のしたことだと反論するが、陳は問答無用と首を宣言し、彼女を追い出す。帰宅すればすかさず父親に犬のハッピーの散歩を押し付けられ、しかもハッピーを見失ったことで罵られ、泣き面に蜂。彼女はたまらず家を飛び出した。

 入院中の姉に頼んで病院で一夜を過ごすが、とてもぐっすり眠れる環境ではない。通菜は母親を見舞いに来て、偶然彼女と再会。少棠はとっさに「妊娠しちゃったんで、今日は堕胎に来たの」と口走り、通菜を驚かすがすぐに嘘だと打ち消した。「私に向かってアイ ラブ ユーと言ってみて」と頼まれた通菜は「実は恋人がいる」と断ったものの、彼女の苦境を見捨てられず、「せめて髪を洗いたい、シャワーを浴びたい」と言った少棠を自宅に連れ帰る。
 通菜の父の代に、店が大繁盛し、父は2度も六合彩(宝くじ)に当選したので、自宅は広くてプールつきの豪邸だ。ところが通菜の妹は2人とも変わり者で、一人は衝動的で騒々しく、もう一人は彼女に敵意剥き出し。弟のゲイリーは泣き虫で、店は通菜一人の肩にかかっていた。みんなのアイドルのミンディーと通菜の結婚を楽しみに待つ家族にとって、少棠は突然割り込んできた女狐でお邪魔虫。家族の視線は冷たく、少棠は居心地が悪い。

 少棠は通菜に店に連れて行かれ、牛バラ煮込みをごちそうになりその美味しさに感嘆する。通菜の長電話中に、やる気のない従業員を見かねた少棠は、自分からせっせと働き始めた。店はたちまち活気を取り戻した。ところが少棠はうっかり、厨房の掃除中に30年来煮込んできた、店の宝物ともいえる特製牛煮込みスープを捨ててしまった。焦る通菜。二人は別の地域の同業者の店に乗り込み、100杯の牛煮込みを持ち帰って徹夜でスープを作り直した。帰途に現れた通菜の友人の中年男、金毛尋と一緒に飲みにも行った。
 通菜は少棠のために、会社に乗り込み陳大興を脅し、5万ドルを提供するから少棠宛ての小切手を作れと交渉。未払いの給料を取り戻したと見せかけて彼女に小切手を手渡した。

 ミンディーが海外から戻る前日、せめてもの思い出にと、通菜は少棠をディナーに誘った。ドレスアップして人気の高級レストランに行くと、フロアマネジャーのはずの金毛尋は昨日辞職し配置換え、運の悪いことに満席だという。金毛尋の機転で用意された席は、なんと厨房の片隅。二人とももう酔って間違いを起こさないように用心し、酒抜きで楽しく時を過ごしたものの、通りがかりの雑貨屋でアルコール切れに耐えられなくなって、ついつい缶ビールを買い込んでしまった。家族の暗黙の了解のもと、二人は通菜の家のプールサイドで缶ビールを浴びるように飲む。本心を隠し切れなくなった通菜は、ついに「なぜだか自分でもわからないけど、僕は本当に君を愛してる。彼女には僕からちゃんと話すから」と告白する…。

 空港にミンディーを迎えに行った通菜は、思い切って別れを切り出そうとした。だがミンディーはいきなり熱いキッス。話を聞こうとせずに「私たちは結婚すべきよ」と強引に宣言する。彼女に無理にせがまれ、通菜は宝飾店に婚約指輪を買いに行くことに。苦りきった通菜はすきを見て、自宅で待ちわびる少棠に携帯電話をかけた。何も言えない様子の彼に、全てを悟って涙をこぼす少棠。彼女は黙って家を出て行った。
 ミンディーは通菜宅のメイドを抱きこみ、少棠の存在を調べ上げていた。彼女に二度と連絡できないように、通菜の携帯電話をプールに投げ込む。

 少棠と阿寶は話し合い、仲直りした。阿寶に、通菜が会社に乗り込んで金を払って小切手を作らせたことを知らされ、彼の誠意に改めて気づく少棠。阿寶は少棠をアンダーソン貿易会社創立12周年パーティーに誘う。りりしいスーツ姿で一人、出席する少棠。

 その創立記念パーティーに、なんとミンディーが司会進行役で現れた。通菜も彼女の婚約者としてパーティーに出席するが、会社の社員らはてっきり少棠の恋人だと思い込んで彼女の隣に座らせた。二人が一緒のところをミンディーに見つかるまいとあせる通菜。女らしく美人だが男に甘え、わがままいっぱいの女性と、しっかり者で正直だが、ややがさつで粗雑な女性。対照的な二人の女性の間で迷う通菜…。彼の出した結論は果たして?

同居蜜友View Point

珍しくオーバーアクトのトニー。ノッてます。
珍しくオーバーアクトのトニー。ノッてます。

サミーに見立てられたジャケットを着たトニー
ドレスアップした二人。


別れたいのに強く言えない…
珍珠[女乃]茶もう一杯!

女性歌手としてはある意味頂点を極め、昨年アンディ・ラウと共演し「孤男寡女」(英題はNeeding You、2001年11月東京で公開予定)の大ヒット以来、意欲的に映画出演を続けるサミー・チェンとトニーの初顔合わせ映画。後ろにアンディとの再度の共演作【痩身男女】が控えていて夏休み前哨戦作品としての取り扱いになったが、顔合わせの新鮮さからヒット間違いなしと大いに期待された。

・トレンディーラブコメでは定評のあるジョー・マー馬偉豪監督は、以前からトニーを起用したいとトニー本人に働きかけていた。以前にも【愛與誠】という題名のトニー主演映画を企画していたが、当時のトニーは「花様年華」撮影に追われ出演辞退、結局はワン・ジエ王傑主演作となった。しかしなおも馬偉豪監督はトニーをあきらめず「一緒に映画を作ろう」と働きかけていた。トニーは監督の誠意こもったオファーに心打たれて、またコメディーがやりたくて、カンヌ受賞後初の出演作に、この作品を選んだとか。

・クランクインは3月、撮影は約2週間と香港でも異例の早撮りで進められた。折りしもカリーナとの別居報道で連日連夜パパラッチに追われ続けたトニーだったが、撮影中は少しも心理的影響を見せず、危なげなく演技を続けたと馬偉豪監督は語る。

・ニキ・チャウ周麗[王其]は有名ファッションモデルキャシー・チャウ周[ミ文]リ(歌手のアレックス・トー杜コ偉のガールフレンドとも取りざたされている)の妹。馬偉豪監督の「百分百感覺U」でダニエル・チャン陳曉東と共演後、この映画で準主役を獲得。もっともベッドシーンは編集時にカットされてかわいそう。彼女も撮影中に歯列矯正・美容整形疑惑が取りざたされ「トニーに映画でのファーストキスを捧げた!」「大胆ベッドシーンがカットされた」と下世話な話題ばかりが取りざたされた。果たして女優として大成するだろうか?

・公開初日には、あいにく赤色警報(暴風雨警報)が出る暴風雨に見舞われたが、入場率に影響はなく220万香港ドルの興収を得た。トニーは観客にとって近寄りがたいアーティストではなく、娯楽的なラブコメ映画でも面白いことを保証してくれる存在となったようだ。蘋果日報のお馴染みコラムニスト、馮仁昭氏は「トニーのギャラが高いのも当然」というコラムを書いた。「この映画を見終わって感じたのは、トニーがとても軽妙に演じて笑いを惹き起こしていて、彼がコメディを演じることによる効果も悪くないということだ。もしもこの役をトニーが演じていなかったら、この映画はとんでもないものになっていたかもしれない。だからトニーがこの1作で600万香港ドルのギャラを得ても、充分当然なのだ」だってさ。

・ジョー・マー監督には若き日に学生活動家として名を馳せ、最近ではレズビアン・バーを経営するかなりキツそうな姉がいる。しかも彼は香港生まれではあるが、男尊女卑で知られる潮州人家庭で生まれ育った。繊細で争いごとが嫌いで泣き虫の弟ゲイリーって、もしやジョーさんの少年時代の投影?

・しかもピーターさんのよき片腕としてシナリオを構成し続け「12夜」で監督デビューも果たした女性映画人・オーブリー・ラム林愛華さんもストーリー作りに加わっている。だからガサツなキャリアウーマンから、恋して揺れるけなげな女への、サミーの心情の変化がうまく描かれているのだろうか。リストラ、父の無理解、家出と連なる彼女の受難には、思わず涙しそうになってしまった。鼻を赤くしたスッピンに近いサミーが、こんなにキュートに見えるとは。

・マンディー役のニキ・チャウ周麗[王其]は典型的な裏表の極端なテレビタレントタイプ。ときどき酒井法子にも松田聖子にもサンドラ・ンー呉君如にも似ていたなあ。どーして男はこういう小悪魔タイプに弱いんでしょうねえトニーさんピーターさん。彼女に押し切られ、別れ話が結婚話にされてしまうときのトニーの「…珍珠[女乃]茶もう一杯!」には大笑いした。いやまったく、こんなトホホ男を演じさせたらトニーってば天下一品。

・かなり女に対して優柔不断で、衝動的にエッチして逃げ出して、金で何でもかんでもカタをつけようとする、日本人がよくよく考えれば「とんでもないジコチューなお坊ちゃま君やなあ」の通菜ではあるが、トニーが演じるとそれなりに筋を通そうと、非力ながら懸命に頑張る男に思えて憎めないから不思議。これでアルマーニのスーツがぴしっと決まる大富豪の御曹司だったりヤング・エグゼクティブ(死語)だったら鼻持ちならないが、ブランドものポロシャツも女人街にあるようなしわくちゃの染み付きにしか見せられないトニーだから許される。ゴキブリの這う汚い床にしゃがみこんでガスバーナーで汗びっしょりになって鍋と格闘しても、どこかカッコいい男なんて、世の中にそうはいない!やはりトニーは香港下町の太陽だ!

・ラスト近くで、トニーは散らかったある人の部屋に入り、手持ち無沙汰のせいで思わず戸棚に散乱した本などを整理しようとする。その動作があまりに自然で、ああこういう人は自宅も几帳面に自分で片付けるだろうなあ、ファンからのプレゼントも自分できちんと包装紙をはがして、整理整頓してくれるんだろうなあと感嘆してしまった。一家に一人、整理係りとして高給で雇いたいです。サミーは職場に一人、物分りが悪くすねる駄々をこねるおっさんらの説得係として。

・ところでジョー・マー監督へのインタビュー(「GET HONGKONG」第44号)を読むと、トニーは何故かサミーとのキスシーンに対してとてもナーバスになり「緊張しているので、サミーに僕とキスシーンがしたいかどうか聞いてきてほしい」と、監督を伝書鳩役に立てたという。サミーも「彼がそんなに緊張しちゃうなら、私まで緊張しちゃいますけど、私は気にしませんから」と監督に伝えさせたって…狭い撮影現場なんだから、自分でちゃんとサミーに話せばいいのに(^_^;)
 監督いわく「レスリー・チャンとキスできるなら、サミー・チェンならもっと容易いでしょうに(笑)」 …同感である。

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