侠骨仁心タイトル

  StarEast東方魅力が出資し、BOB最佳拍[木當]有限公司が製作。製作総指揮は王晶。TVBの医療従事者群像劇「妙手仁心」のヒットにあやかり、ATV(亜州電視)のテレビドラマ版(2001年2月12日から月〜金曜の午後8時半放送)との連動を目論んで作られた。監督に「妙手仁心」で名を馳せた新進ディレクター、ゲイリー・タンケ特希が抜擢されている。だがこの映画は予想ほど興収を上げられず、テレビドラマも視聴率が上がらず、王晶と監督の不仲・訣別説も囁かれた。
 英語タイトルのHealingは癒し、治癒の意味。心を癒すといったところか。Time heals all sorrows. 時がたてばあらゆる悲しみも治るなんて言葉もある。だが心のふれあいによって本当に癒されたのは、患者のジャッキーじゃなくてローレンス医師の方だったようだ…。

Timeless Romance Stuff&Actors

VCDジャケット。クリックすると原寸大で見られます。

香港上映期間:2000年9月30日〜月日 興収:調査中
製作総指揮:ウォン・チン王晶/プロデュース:リウ・フォンピン廖鳳平/監督・脚本:ゲイリー・タンケ特希/撮影:張文寶/美術:陳永標/編集:[廣β]志良

キャスト:
トニー・レオン(ローレンス=脳外科医)、ミシェル・リース李嘉欣(ジャッキー)、ケニー・B鍾鎭濤(ポール・フォン方至仁=脳外科医)、スティーブン・フォン馮徳倫(アラン楊英明=緊急治療室医師)、ビンセント・ワン尹陽明(陳柱基刑事)、クリスティ・ヨン楊恭如(ヘレン洗偉南=緊急治療室女医)、エスター・クァン關詠荷(サマンサ施可曼産婦人科医師)、周嘉玲(フローラ・チェン程家勤=弁護士)、ジャッキー・ルイ呂頌賢(トニー=弁護士)

侠骨仁心STORY
悩む医者役トニー
恋に傷ついた医師役トニー
医者と患者の絆が生まれる
医師と患者に芽生える絆
ディスコで謎を追う二人
ディスコで過去の謎を追う二人
病に倒れるジャッキー
人生をやり直す寸前で病に倒れるジャッキー

 公立病院に勤めるローレンス・チン(トニー・レオン)は脳外科医。数年前、同棲していた恋人が突然の交通事故のため脳死状態に陥るという悲劇を体験している。しかも彼女の友人とおぼしき人物から何度か電話がかかってくるのだが、正体がつかめない。刑事部罪案調査組警長の阿基こと陳柱基は、弟の死をローレンス医師のせいだと頑なに思い込んでいる。

 ある日、親友の脳外科医ポール・フォン方至仁は病院近くの銀行に行き、産婦人科医のサマンサ施可曼と共に強盗事件に巻き込まれる。強盗は錯乱しガソリンを撒いて火をつけ、自らも大やけどを負った。ポールを心配し銀行に駆けつけたローレンスや救急治療室女医のヘレン洗偉南、サマンサは負傷者の手当てに奔走した。犯人も病院に収容され、若い救急治療室医師のアラン楊英明が治療に当たるが、手当ての甲斐なく彼は死亡した。

 犯人の遺族は「犯罪者だからと医療の手を抜いたのでは」と疑い、医療過誤訴訟を起こそうとする。病院側の弁護士のフローラ・チェン程家勤はやり手だがセクシーな女。仕事の憂さを晴らすため蘭桂坊のバーに入り浸って男たちとの駆け引きを楽しんでいる。バーで彼女に心惹かれたトニーは彼女に接近してくる。だが彼の正体は、強盗の遺族側の弁護士だった。

 ローレンスはガン患者にはっきりと告知するのが誠意だと信じている。だが妊婦の患者に脳腫瘍だ、最悪の場合あと2年の命だと告知したとき、彼女の夫は彼女を見捨てて他の女と駆け落ち。彼女は絶望して投身自殺を図る。命がけで彼女に近づき、説得するローレンスだった。

 ポールには植物人間状態の入院患者で元の女友達ジャッキーがいる。昏睡状態の彼女に優しく話しかけるポール。病院理事長の小言を嫌ってジャッキーの病室に飛び込んだローレンス。何となく彼女に話し掛け、部屋を出ようとしたとき、ローレンスはジャッキーが自分をしっかりと見つめているのに気づいた。奇跡的に意識が戻ったのだ。
 喜ぶポールだが、ジャッキーは以前の自分には戻りたくない、生まれ変わったつもりで生きたいと願う。退院した彼女は住処に困る。偶然彼女と出会ったローレンスは、しばらく自分の部屋に居候を許す。ジャッキーはローレンスの怠惰な生活態度をいさめ、ローレンスはとまどいながらも二人暮らしに馴染み始めた。

 ローレンスとジャッキーの車にスポーツカーが強引にぶつかろうとする。カッとなったローレンスはスポーツカーを追ったが、車が横転しただけでまんまと逃げられてしまった。ジャッキーは彼に「電話の主の正体を突き止めよう」と誘い、電話の背後のざわめきをヒントにディスコに向かったが、ローレンスは過去を振り切る決心をした。

 会計事務所に就職を決め、自立しようとしたジャッキーだが、その矢先に脳腫瘍を発病、街角で昏倒する。脳腫瘍の存在を告知するローレンス。二人は心身ともに結ばれた。
 緊急手術はローレンスが執刀することになった。手術直前、ローレンスは彼女にカツラをプレゼントして励ます。彼女もまたローレンスに全面的な信頼を寄せた。アランが手術の助手を務める。いよいよ彼女の頭部が開かれる…。

(下の色文字をクリックすると、ラストまで読めます。もう一度クリックするとラスト部分が消えます。)

侠骨仁心View Point

脇役の皆さん

後に悲惨な運命をたどる共演の皆さん(上左=呂頌賢、上右=クリスティ・ヨン、下左=ヴァレリー・チャウ、下右=スティーブン・フォン馮徳倫)

・あのスピルバーグが製作にかかわった米国ドラマ「ER:緊急救命室」のような病院群像劇との触れ込みだったが、あのスピード感(せわしなさともいう)はみじんもなし。こりゃ江口洋介の「救急病棟24時」シリーズ+ロバート・デ・ニーロ主演「レナードの朝」(90)のパクリと言ったほうがいいんでないかい?

・映画とテレビドラマって、やっぱ違うんだよなーと痛感させられた1作でもあった。これだけの登場人物とその背景を、トニーのモノローグだけで説明しようってのが無謀。訳ありげな刑事のヴィンセントさん、夜な夜な男の視線に身をさらすのに有能な弁護士らしきヴァレリー・チャウなんてホント、宝の持ち腐れ。登場人物名もテレビドラマのHPで調べてやっと判明した。伏線が一向に生かされないで錯綜していくじれったさは「ツイン・ピークス」以来である。

・群像劇のように始まったのに、映画はなぜかローレンス医師とジャッキーの暮らしを日本のトレンディードラマ以上に細部まで丹念に描き始める。それはそれでリアリティあって面白いけど(香港女性の身勝手さがよくわかる(^_^;))、そんなもの描いてるから伏線を生かすことができないまんまなんだよう!

・ちゃんとストーリーがあって、登場人物の性格付け・描き分けもされているのに、何故か話の筋が通ってない。まずジャッキーが昏睡状態になった理由があいまい。ホームページなどのあらすじでは、厭世自殺に失敗して…となっているが、それがセリフで説明されていない。せいぜい「昔は男たちにちやほやされるけど虚しい生活を送っていた」と暗示されるだけ。ガールフレンドとして親身に世話していたポール医師が、あっさりとローレンスに彼女の世話を任せてしまうのも釈然としない。男の嫉妬は? 回想シーンに出てくるローレンスのガールフレンドも、交通事故だったのか運転席で意識不明になっているのを発見されたのかが分からない(セリフを見逃したかなあ…)。おまけに、ローレンス医師の自宅にかかってくる謎の電話とスポーツカーの正体も最後まで明かされないまま。ローレンス医師が「もう彼女の過去を探るのはやめる」と言い出すのも理由薄弱。

・で、スティーブン君やトニーが何度か口にする「S.Y.」ってナニ? 病院の名前? すいません、誰か教えてくだされ。

・何でもゲイリー・タン監督は王家衛を見習ったか、現場に来てからストーリーやセリフを考え始め、役者にメモを渡すタイプらしく…あのトニーが珍しくじれったいようなコメントをしてたっけ。やはり新人は入念に準備し、シナリオを練ってねって練りまくった上で処女作に挑むべきである。以上。

・ちなみにテレビドラマはヴァレリー・チャウ扮するフローラ弁護士がデート・レイプされ妊娠、法廷でセカンド・レイプにも耐えねばならず。ポール医師は産婦人科医のサマンサ施可曼と恋に落ちるが過去に恋人を死なせてしまった後悔から優柔不断に振る舞い、安楽死を請け負う役人を阻止しようとして医師免許取り上げの危機にさらされる。サマンサは死んだ恋人の家族を養っていて、乳がんの疑いに一人悩む。救急室のヘレン洗偉南医師は精神病患者に撃たれて瀕死の重傷を負い、それが失踪した同僚の医師の仕業だったとわかる。ポールはやがて国境なき医師団のような海外医療隊に参加するが、東南アジアでゲリラの襲撃に遭い、頭部を撃たれて瀕死の重傷に…という、センセーショナルで暗くてどうしようもない内容だったようだ。幼児虐待死もあったりして…視聴率が上がらなくても仕方ないよなー。…それで? みんなの危機にローレンス医師はどうしてたの?

 

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