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62年、香港。新聞社勤務のチャウ・モーワン周慕雲は、妻と暮らすため上海人らが住むアパートに引っ越してきた。同じ日に引っ越してきたのは陳夫人のソー・ライチャン蘇麗珍。夫は日系企業に勤め、海外出張が多い。貿易会社の社長の秘書を務める彼女は、心ならずも社長の不倫を手助けしている。
周はある日、妻と喧嘩した。妻はやがて陳と関係を持ち、日本に行ってしまった。伴侶の持ち物で裏切りに気づき、傷つく男女。伴侶の振る舞いを理解したいのか、復讐してやりたいのかわからないまま、二人は周囲の目を盗んで心を通わせる。
周は陳夫人の助けを得て武侠小説を書き始め、執筆用にとホテルの一室を借りた。だが陳夫人はそこを訪れるのをためらう。周が欠勤を続けていることを知った陳夫人は、体調でも悪いのかと心配してホテルを訪れた。周は感謝し、微笑んで彼女を送り出す。
周は友人の誘いでシンガポールの中華系新聞社に転職することを決めた。
(もし、船の切符がもう一枚あれば、君は…あなたは…)。
周は最後の賭けでホテルに陳夫人を呼び出すが、会えないまま二人は別れた。
1年後、周はシンガポールの居室に誰かが入ったことに気づいた。それは陳夫人だった。だが彼女は部屋から職場の周に電話をかけただけで、黙って立ち去った…。
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6年後、陳夫人は独りで元住んでいたアパートを訪れる。家主のミセス・スーエンは香港の中国返還を懸念する子どもに呼び寄せられて、海外に移住することを決めていた。「もしもあなたが住むなら、安く譲るわ」と言われ、窓際にたたずむ陳夫人。
ある日、周が香港のアパートを訪ねると家主は移住し、見知らぬ一家が住んでいた。隣には母と幼い息子が住んでいると聞かされた彼は、扉の前にたたずみながら、ノックをすることなく立ち去った。何もかもが変わってしまったと信じて。その部屋には陳夫人が住んでいたのだが…。
特派員としてアンコール・ワットを訪れた周は、壁に穿たれた穴に口をつけ、心の奥の秘密を告白し立ち去った。穴にはやがて草が満ちた。周の秘密を吸収して伸びるかのように…。
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