救世神棍Heaven Can't Wait

神棍とは騙り、詐欺師のこと。さあて、救世神棍=世を救う詐欺師とはどういうこと?
英語タイトルのHeaven Can't Waitとはエルンスト・ルビッチの名作「天国は待ってくれるHeaven Can Wait」(43)のもじり。ルビッチはハリウッドのソフィスケイテッド・コメディの神様と呼ばれた監督だ。あの世の入り口で天国行きか地獄行きかの裁きを受けることになったヘンリーは、自らの人生を振り返ってさまざまな女性遍歴を語る…というもの。なのに救世神棍の方は…(^_^;)

香港上映期間:1995年7月28日〜8月18日 22日間   興収:1020万6100香港ドル
製作:電影人UFO/配給:藝体娯楽ET.
プロデュース・導演リー・チーガイ李志毅/ストーリー原案:ピーター・チャン陳可辛/美術:チョン・インワー張英華/撮影:ビル・ウォン黄仲標/脚本:リー・チーガイ李志毅&ジェームス・ユン阮世生&オーブリー・ラム林愛華/視覺特技顧問:ウォン・イン黄英
キャスト:トニー・レオン梁朝偉(小鳳)、チャン・シウチョン陳小春(春)、ボウイ・ラム林保怡(智)、カレン・モク莫文蔚(ジョアン)、アレックス・トー杜徳偉(人気歌手)、カメオ出演でアニタ・ユンほか
 孤児の小鳳(トニー・レオン梁朝偉)は廟街育ち。育ての親がエセ道士様だったことから少年時代に人間不信に陥り、世をすねて相棒の智(林保怡)と組み、オカルトグッズや霊的体験セミナーを開いて迷信深い人々をだまし続けていた。
  だが智は、テレビ局のオカルト番組司会者ジョアンと組んでさらに大もうけしようと企み、小鳳と決裂する。小鳳は蘭桂坊で偶然知り合った純朴青年の春(チャン・シウチョン陳小春)を利用し、彼を仏の生まれ変わり、世紀末の預言者として売り出す。次には人気歌手が包茎手術で入院したのを利用し「昏睡状態の患者をよみがえらせる奇蹟」を春に実演させ、一挙に有名になる。
 だが、小鳳は智の逆恨みに遭って狙撃された!
 小鳳は「僕たち朋友だよねっ」となつきまくった春の捨て身の守りで、危うく一命を取り留めた。頭を撃たれながらも奇跡的に蘇った春は、自ら神の生まれ変わりだと言い出し、小鳳の贖罪のために、火に身を投じると宣言する。智と組んだ実業家は、春のキリストもどき贖罪劇をショーアップし、テレビで実況中継することを企む。小鳳は詐欺師仲間の力を借りて春を助けようとするが、どうにも止められない。燃え盛る本物の火中に身を投じる春!
 小鳳は生まれて初めて天を仰いで「神様、本当にいるのならあいつを救ってくれー」と絶叫…! 果たしてラブラブの彼らに奇蹟は起こるのだろうか?!

・何たること! あの演技派のトニーが、完全にナチュラルボケのコハルに食われてます。話も例によってエピソード詰め込み過ぎでやや散漫です。小鳳と智と春の三角関係の心理描写をじっくり描くだけでよかったんです。ジョアンなんかチョイ役でいいのだ、女は邪魔
・ ローレンス鄭丹瑞さんが異様な七変化の力演を見せます。目がほとんどイッちゃってます。本当に今ではマスコミ界の大物なんでしょうか。
・”人気歌手の昏睡と、ファンのパニックと祈り”のエピソードは、Beyondの黄家駒が日本で事故に遭って危篤だったときと、ダニー・チャン陳百強が昏睡状態になったときのファンの行動をなぞっているようです。UFOってつくづく不謹慎ですねえ。
・英語題はルビッチでも、モチーフはおそらく「ジーザス・クライスト・スーパースター」。日本じゃ北野武と荻原クンの「教主誕生」と比べられるだろう作品。絶対、当時香港でも盛んに報じられていたオウム真理教の一連の事件もヒントになってる。日本公開は…難しそう。
・アポロの月面着陸のニュース映像から始まり、月の女神の常蛾さまで終わるこの「男の友情、やましいものは何も…あるかもしんない」作品、いかにも60年代生まれのピーターさんが考えそうなネタ。どーして自分で導演しないで李志毅さんに押し付けちゃったかなあ(^_^;) 
・結局この作品やジェイコブ・チョン張之亮さんの【仙楽瓢瓢】が思うような興行成績を挙げられず、UFOとETこと藝体娯楽とのジョイント配給はこの作品を持って打ち止めになるのだった。トニーもこれを最後にUFO作品に出なくなった…残念。

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