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「等着イ尓回來」は、往年の美人女優兼歌手の白光(ぱい・くぁん)が年に歌った北京語歌謡のタイトル。「あなたの帰りを待ちわびて」の意味だ。不思議なムードを漂わせたスローバラードで、ゴシックホラーのBGMにはふさわしいといえる。なお香港のデュオ達明一派も同じタイトルの歌を発表していたが、リメイクだろうか?
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香港での上映期間:1994年7月30日〜8月18日 20日間 興収:599万8800香港ドル
プロデュース:リー・チーガイ李志毅、クラウディー・チョン鍾珍/監督:ジェイコブ・チョン張之亮/脚本:リー・チーガイ李志毅、ジェイコブ・チョン張之亮、レイモンド・トウ杜國威(『我和春天有個約會』の編劇者。有名劇作家)/ストーリー原案:ピーター・チャン陳可辛/美術:劉敏雄/撮影:テイラー・ウォン黄岳泰/音楽:マニー・ラム林敏怡/録音:Bill
Oliver
キャスト:トニー・レオン梁朝偉(李奕冲)Jacqueline Ngンー・シンリン呉倩蓮(Y頭ことエレイン) サンドラ・ンー呉君如(ジュリア)毛俊輝(唐逸修社長) ジョー・チョン張同祖(牛乳配達で後の果物屋の陳小明)
出品/発行:聚寶/電影人
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阿冲こと李奕冲(トニー・レオン)は出版社勤務の書籍編集者。調景嶺の貧しいスラム街から出て、新聞社の鉛版活字拾いから身を起こし、今では名の知れた編集者となったノンキャリアだ。彼は50年代の女性作家・シウラウ小柳の全集出版を手がけ、彼女の伝記を1冊にまとめるため、ビクトリア・ピークにある小柳の邸宅に、幼なじみで恋人のエレインと移り住んだ。
詩、小説、コラムを書きつづけ、人気のあった小柳だが謎の多い人物で、肖像写真も残っていず死因も不明。資料集めに熱中する阿冲は、エレインの不安に耳を傾けない。二人のよき友人、ジュリアはシングルマザー。ジュリアの娘ミミは屋敷にある開かずの部屋の住人と遊んだと言い、ジュリアもエレインも開かずの部屋で誰かが歩き回っていたり、白光の「等着イ尓回來(あなたの帰りを待ちわびて)」のレコードがかけられるのを確かに聞いた。
暖炉から小柳の写真の断片を発見した阿冲は、エレインに50年代のデザインのスーツを着せ、写真の再現を図ったりする。エレインの精神状態は異常をきたし始める。ジュリアが衝動的に阿冲に愛を告白したことで、エレインの錯乱は深まった。少年時代に小柳の最期に関わった出版社の唐逸修社長(モウ・ジュンファイ毛俊輝)は、エレインを見て「小柳そっくりだ!」と怯え、会社に駆け戻った。そこにエレインが現れ、唐社長は心臓発作を起こし病院に運ばれた。救急車に乗せられる寸前、唐社長は阿冲にアンティークな腕時計を渡した。
腕時計の裏には1949の数字が彫りこまれていた。阿冲はこの数字は金庫を開ける暗号だと考え、社長の金庫を開けてみた。するとそこには、1949年11月18日まで書き綴られた社長の日記があった…。
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阿冲は小柳に憑依されたエレインと会話し、3代ビクトリアピークに住み牛乳配達をしてきた陳小明(現在は果物屋)に話を聞いて、小柳と愛人の上海の貴公子・雲昇の謎を知った。日記によると父を探して動乱の上海に戻ったはずの雲昇だったが、陳小明は牛乳配達はその後も続けていたと証言した。雲昇だけが、牛乳を毎朝飲む習慣だった。屋敷まで空の牛乳ビンを回収に行った陳小明は、小柳が大量出血し、助けを求める姿を見て驚き、逃げ出したのだった。事件後、屋敷の裏口で空の牛乳ビンを見つけた彼は、傍でネズミが死んでいるのを発見した。
一方、ジュリアも小柳=エレインに車道へ突き飛ばされて重傷を負う。阿冲は屋敷に戻り、小柳に向かって彼女こそが独占欲にかられてプレイボーイの雲昇を殺したのだろう、エレインから出て行けと迫る。小柳は、雲昇の牛乳に毒を入れて彼を殺したのは、彼女に横恋慕した少年時代の唐逸修だと明かした。そしてその後、彼女が流産しかかって苦しんでいるのを見殺しにしたのも唐逸修だったと。
小柳は勝ち誇り、阿冲に「あなたは根本的にどうすれば人を愛せるかわかっていないのよ」と告げた。屋敷に火がかけられ、小柳の亡霊が笑う。壁に塗りこめられた小柳の愛人、雲昇も白骨となって現れた。
煙に巻かれながら、奇跡的にエレインと共に生き延びた阿冲。1年後には二人の間に子どもも生まれるが、事件は終わったわけではなかった。看護婦の問いかけに、自分は雲昇、妻は小柳だと告げる阿冲。彼はブラインドから外を油断なく眺め、ほくそえむ…果たして突然断ち切られた人生を恨み、転生を望み、自分の子どもを真に欲していたのは……?
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・「恋する惑星」を香港で見よう!と意気込んで旅立った94年夏だったが、何と前日で上映打ち切りに。それでも「君さえいれば〜金枝玉葉」とこの作品を連続で見られたんだから、今思えばなんて贅沢。「君さえいれば」は満員御礼で、映画館のハシゴをしてやっと入れたのだが、こちらはレイトショーで簡単に見られた…つまり、あまりお客さんが入ってなかったわけ。「金枝玉葉」は写真集が出版されたが、こちらはムードあるロビーカードが映画館に貼ってあっただけ。しょぼん。まあ、看板の「驚き顔のトニーの首だけ」があんまりいいビジュアルじゃなかったしなあ…。
・『君さえいれば〜金枝玉葉』と上映期間が重なり、新聞広告などではカップリングで宣伝に務めていた。もちろんこういうシュミに走ったゴシックロマンサスペンスは、マニアックだから『君さえいれば』ほどは人気呼べない。でもいい。「いっぺんこういうの香港でもやってみたかったんだよね」というピーターさんの嬉しそうな顔が透けてみえたから。7年前にこの後ろ向きのストーリーを構想したというピーターさん、その頃いったい何が?!
・シナリオはとうに出来ていたのに、話がクールすぎて演出が難しいと、誰も手をつけていなかったらしい。それをジェイコブさんが拾ったようなもの。実は撮影開始の数年前まで、レスリーとマギー・チョン(張曼玉)をキャスティングする予定だったとも知ってちょっとショック。どーしてみんな偉仔をレスリーの後ガマに据えようとするのよっシクシク。あんなに個性が違うのに。
・荘厳な音楽、ブルーを基調にしたクールで美しい映像。謎めいたトニーと呉倩蓮、サンドラの演技。どこをとっても一流のゴシックホラー…と言いたいところだが、壁を突き破って出てくるアレが全てぶち壊し。興ざめ。やり過ぎ説明しすぎがまさしく香港映画である(^_^;)
・雑音騒音がひどくて80年代はアフレコ(アフターレコーディング)が常識だった香港映画だが、この作品では米国から録音技術者を招いて同時録音とホラーならではの効果音のミキシングに挑戦。シーンによっては耳障りな雑音が背景に混じっているが、一応臨場感を持たせる効果はあった。で、赤ちゃんの笑い声はですね、日本で発売されているCD「効果音大全集10<家庭・人間>」(キングレコード)に、そのまんまの声が入ってました。日本から輸入してんのかしら、スタッフが…。聞きたい?(^_^;)
・どう考えてもやっぱりこの悲劇をもたらしたのは、 阿沖の妄執である。仕事=小柳に熱中し、恋人や友人を省みない彼は、人間関係をうまく結べず、煩わしいとしか感じられないために仕事に逃げ込んでいるような印象を与える。それは30歳をとっくに超えても独り身を通すトニーやピーター・チャン本人の性格を連想させる。
・実は幽霊などいなかったのかもしれない。 自分は阿沖に愛されていないのではないか、だから自分としっかり向き合ってくれていないのではないかというエレインの不安と孤独が(小柳になれば、彼に愛してもらえるのではないか)という気持ちに結びつき、多重人格症を起こして一連の事件を引き起こしたとも考えられる。だがそうすると、ラストシーンの謎は。エレインを操っていたのはやはり”彼”だったのだろうか?
・このラストシーン、同人誌「電影風雲1994」の第8回福岡アジア映画祭レポートに掲載されているジェイコブ・チョンプロデュース作品【ミッドナイト・リベンジ/暗夜槍聲】のスチール写真にそっくりなのだ。こちらの映画は台湾在住の張作驥監督作品なのだが、主演のジャック・カオ高捷とトニーの区別がつかないぐらい似ている。これは一体どうしたことか、いつかジェイコブさんに聞いてみたいのだ。
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