ツイ・ハークのTHEマジック・クレーン

 「仙鶴神針」という武侠小説があった。武侠片(時代劇)ブームの真っ只中、ツイ・ハークが思い出したようにその武侠小説を引っ張り出してリメイクしたというわけ。

香港上映期間:1993年8月19日〜9月2日 15日間   興収:815万9384香港ドル
プロデュース:ツイ・ハーク徐克  監督:ベニー・チャン陳木勝 脚本:チョイ・タッチョー徐達初、ツイ・ハーク徐克
キャスト:トニー・レオン(馬君武)、アニタ・ムイ梅艷芳(白雲飛)、ロザムンド・クァン關之琳(藍小蝶)、ダミアン・ラウ劉松仁(一陽子)、ケルヴィン・ウォン 王霄(曹雄)、ローレンス・ンー呉啓華(蘇鵬海)、ジェーン・ラウ劉錦玲(玉蕭仙子)、ノーマン・チョイ徐少強(藍海萍)
日本ビデオ化、1時間30分

 九州府(九州とは中国全土のこと)で九大武術家一門を集め、天下一を決める武術大会が開かれる。點蒼派は師匠の一陽子と弟子の馬君武、たった2人だけの少数派だが、大会に参加しようと道を急いだ。君武は空を翔ける大鶴とその上にまたがる白雲飛に驚き、崖から落ちかけて馬ごと大鶴に助けられた。その鶴と白雲飛を探す美女、藍小蝶は大きな船上で女官たちを従え、様子をうかがっている。

 燕雲十八騎の曹雄、新興勢力の天龍幇の蘇鵬海、その妹の玉蕭仙子らが宿に集まった。玉蕭仙子は色仕掛けで武術家たちを惑わす。曲者ぞろいの武術家に、突然毒コウモリが襲いかかった。中毒症状に苦しむ武術家らを助けようと、白雲飛と馬君武は火山に棲む千年火亀の肝を取ろうとした。そこに現れ邪魔をする藍小蝶。彼女の船に降り立った白雲飛は、25年前に小蝶の父で白雲飛の師匠の藍海萍が、亡国の王女だった自分を助けるために妻と娘を見捨てたことを知った。戦う二人の前に現れた藍海萍は白雲飛を助け、彼女を助け引き取った一部始終を打ち明けた。廃墟となった故国の墳墓を訪れ、父の亡骸に見入る白雲飛…。

 武術家らは天龍幇の支配に屈した。大地の割れ目に落ちた曹雄は、その地中に捕らわれていた化け物のような男に取りつかれ、最強のパワーを持って九州府に戻ってきた。曹雄の手で無残に殺された蘇鵬海と玉篇仙子。藍小蝶も媚薬をかけられ苦しむが、馬君武の助けで情を交わし、一命を取り留めた。藍海萍が小蝶のために命を落とす。藍小蝶と白雲飛は決闘する。だが実は、藍海萍は一陽子に救われ息を吹き返していた。それを知った二人は休戦、一陽子と馬君武と共に曹雄に立ち向かう……。

・香港に旅行中、この作品のポスターだけが貼ってあって「見たいよ見たいよお」と地団駄踏みながら帰ってきた記憶がある。
・せっかく水墨画のような美しい風景に、漢詩のような小説の一節が墨跡もみずみずしく描かれ、ムードたっぷりの映画なのに、あまりといえばあまりなツルの特撮。誰もが唇から一筋の血を流して最後の死闘を繰り広げる、マンガみたいな演出。やっぱり元特撮・アニメ少年に大きすぎる権力を持たせてはいかんのだ。村田順子センセイのお墨付き「オタンコナス映画」である。
・トニーは二人の勇猛な美女を取り持つ狂言回しの役回り。ファーストキッスや童貞喪失にうろたえる純真さがハマッている。アニタ・ムイに必死でしがみつくのは、まるで赤ちゃんみたいな可愛らしさ、あどけなさ。た、たまらん。それでも宙を飛び壁を駆け上がり、アクションはなかなか頑張っていると言えるのでは?
・しかし最後は何だか、続編でも作れそうな終わり方だなあ。もちろん1千万ドルに達しなかったので続編どころじゃなかったのだが。

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