哥哥的情人

 哥哥は「お兄ちゃん」の意味。情人は恋人。「おにいちゃんの恋人」。別にレスリー・チョンの恋人ってわけじゃないから、そのつもりで。(三個夏天)は当初のタイトルで、電影全体の雰囲気をよく表しているんだけど、どういうわけか併記することになった。

Three Summers Stuff&Actors

香港上映期間:1993年5月14日〜6月2日 19日間  興収:366万2343万ドル
プロデュース:チェン・ソイイー鄭水枝 監督:ローレンス・ラウ劉國昌 ストーリー:シルビア・チャン張艾嘉 脚本:シルビア・チャン張艾嘉、ローレンス・ラウ劉國昌、イップ・キムフォン葉劍峯、チョン・タッメン張達明
キャスト:チェリー・チャン陳少霞(プンチェー)、トニー・レオン(プンチェーの兄)、ンー・シンリン呉倩蓮(フローラ)、阿ラム(陳展鵬)
Three Summers STORY
 ランタウ島沖の小島・大澳に住む中学生プンチェーの視点で、少女時代の3つの夏の出来事を描く。プンチェーの兄は香港に出てクルーザーの操舵手となったが、ボスの情婦と恋に落ちてリンチに遭い、負傷して島に戻ってきたらしい。腕の傷を癒しながら、海にボートを浮かべて酒びたりの毎日だ。

 プンチェー一家が持っている石造りの家は環境保護グループに貸していて、香港人と結婚した米国人研究者が滞在している。毎夏、大学生が合宿にやってくる。美人学生のフローラにあこがれるプンチェー。2年目、フローラの恋人阿ラムは外国に留学し、彼女は医者志望の阿隆と交際していた。阿ラムの親友ショーンは母親の飛び降り自殺以来、精神的におかしくなっていた。ショーンはサークルの一同にいやがらせを続け、フローラに奇妙なふるまいを続け、ついに合宿所から追い出されてしまう。

 兄への追っ手がプンチェーをも襲った直後、島のドラゴンボートレースの日に美しい女性が現れた。動揺を隠せない兄。いったんは彼女を拒んだが、夜になってリゾートホテルに彼女を訪ねる。ボスと別れた彼女は、外国で暮らそうと決めていた。  翌日、旅立つ彼女を送った兄は、何かがふっきれたようだった。その夜、フローラの変貌が承服できないプンチェーに「失恋は人を成長させる」と話す兄。

 フローラが出血しベッドで苦しんでいるそのとき、ショーンは同級生が飼っていた犬を隠したとなじられていた。プンチェーの兄は自棄になって暴れる彼を取り押さえ、厳しく言い聞かせた。山中に駆け去ったショーンは、山の怪物を探す村の少年にぶちのめされた。フローラは流産とわかり、ヘリコプターで病院に運ばれて行った。

 3年目の夏。祖母は亡くなり、研究者の妻は男の子を出産した。プンチェーは中学を卒業し、香港市街の叔母の家に下宿して進学できることになった。旅立つ日、兄は「どこに行こうが、おまえの後ろには永遠に家がある」と彼女を励ますのだった。
Three Summers view point

・トニーはプンチェーの兄役で、Tシャツ半ズボン姿や半裸を惜しげもなく披露する。無言で愛への逡巡と渇望を表現しきったラブシーンも心に残る。  
・トニーの出演作を5作だけ推薦するとしたら? と聞かれたら、必ずこの作品を含めるつもり。香港男星は数あれど、こういう清新な作品にすんなり溶け込めるのはトニーぐらいなものである。
・難点は、あのMくんそっくりのストーカー気質青年ショーンが不気味過ぎること。作品の趣旨からいえば、あれほど不気味に描かなくてもよかっただろうに。でも、あれほどイってしまってる彼でさえ、耳元へのささやき一つで鎮めてしまう哥哥って、すごい。寺院で古傷の治療を受けながら、元同級生の僧侶を俗世に引き戻そうとする哥哥は、何だか悪魔的魅力に満ちていて、畏怖さえ感じる。
・何よりすごいのは、ヴェロニカ・イップが泊まったホテルにトニーが訪ねて行ったときの無言のやりとり! エロティックとはこういうシーンを意味するのだ。台湾版はすぐ朝になっちゃうけど、香港版は「えっちょっと、トニー何してもらってんの! そんなキモチよさそうな顔…ああっ!」とテレビにかじり付く凄さである。エッチだ。
・大体、袖まくり上げたTシャツに半ズボンにゴムぞうりという、半裸に近いいでたちでトニーに漁村をフラフラされるのは、非常に教育上よろしくない。環境保護を訴えるのもこの作品の主旨だったはずなのに、哥哥だけはビール瓶を海にポイ捨てしてしまう。実によろしくない!
・妹役のチェリー陳少霞ちゃんは、トニーの実の妹に酷似している。トニーも楽しく過ごせただろうなあ。
・なんと脚本を、あのチョン・タッメン張達明が手がけている。シルヴィアとどんなふうに脚本を練っていったのかなあ。彼がアイデアを出した部分ってどのへんなんだろう?

・主題歌はシルヴィア・チャンが若い頃にヒットさせた曲。可愛らしくてこの映画のムードにぴったりだ。思わずアルバム買いました。

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