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文字通り、人民の英雄、人々のヒーローである。誰が? トニーではなく、銀行強盗のクー・ヒョンヨンがである。何で? さあ映画を見てみよう!
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1987年作品
プロデュース:ジョン・シャム岑建勲 監督:イー・トンシン爾冬陞
脚本:イー・トンシン爾冬陞、リー・バッリン李百齡、クワン・イウウィン關耀榮
キャスト:ティ・ロン狄龍(クー・ヒョンヨン)、トニー・レオン(阿細)、ロナルド・ウォン黄斌(阿チェン)、エレイン・ジン金燕玲(阿ピン)、レオン・カーファイ梁家輝(チェン刑事)、ポール・チュン秦沛(チャン課長)、ボウイ・ラム林保怡(銀行員)
88年10月日本公開(配給) 1時間19分
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閉店間近の宝隆銀行に、ハンバーガーの袋を持った二人組の若者が入ってきた。阿チェンは緊張のあまり引きつけを起こし、阿細はいったん計画を断念した。だが袋から拳銃が落ち、周囲はたちまち騒然となる。阿細はパニックに陥って駆け回り、カウンター奥に置かれていた箱をやたらに開けて、黄色い防犯用の粉を頭からかぶってしまった。
客を装っていたクーが、突然阿細に拳銃を突きつけた。彼は警官二人を殺した指名手配犯。彼もまた、銀行強盗をしようとこの銀行に入ってきていたのだ。彼の正体を知った人質は震え上がる。
クーは捜査班に電話し、特捜2課のチェン係長を呼ばせた。さらに、彼の逃亡を手助けしたために服役中の女・阿ピンを現場へ連れて来いと警察に要求した。
負傷したインド人警備員に気遣いを見せるクーに、人々は目を見張る。様々なバックボーンを持つ人質たち。助かりたい一心でクーのご機嫌を取る男、責任をなすりつけ合う母と学生の娘。同僚女性に振られた銀行員。彼らは少しずつクーに心を開いていく。阿細と阿チェンもクーに問われるままに、商売に失敗し、穴埋めに金を借りた高利貸しに追われて強盗を思いついた経緯を話した。クーにけしかけられた阿細は、高利貸しの手先のヤクザに電話して相手を罵倒した。
白のライトバンが銀行前に用意された。クーは言葉巧みに人質の心理を操り、最初に殺す人質を選ぶ残酷なゲームさえ行った。彼の意のままにされる人質たち。阿細は車の運転手役をすると自ら申し出る。クーは人質に壁を作らせ、用意されたライトバンに乗り移った。チェン係長は車の外に阿ピンを連れて来た。クーが阿ピンを乗せようとすると、彼女は頑なに拒んだ。それを見ていた阿細も、勇気を振り絞って運転席から降りた。阿ピンに向かい「おまえが来なけりゃ、逃げても仕方ない」と涙をこぼすクー。彼はついに、自殺同然に銃を天に向かって発射し、狙撃班に蜂の巣にされてしまった。チャン課長は満足そうにニヤニヤしながら、血しぶきを上げるクーを眺めるのだった。そんなチャン課長を殴り、無念の表情で虚しく立ち去るチェン係長だった。
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・トニーはこの作品で香港金像奬最優秀助演男優賞を受賞、エレイン・ジン金燕玲も最優秀女優賞を獲得し、W受賞となった。
・またしても社会派作品を作ったジョン・シャム岑建勲と爾冬陞。「狼たちの午後」にヒントを得たんだろうなあ。
・ 「ストックホルム症候群」も巧みに取り入れている。「ストックホルム症候群」とは、「被害者が犯人に、必要以上の同情や連帯感、好意などをもってしまうこと」。これは、誘拐や監禁などで犯人と接触する時間が長い場合に起こる。1973年、ストックホルムの銀行を強盗が襲い、犯人は数人の人質をとって立てこもった。警官隊と何度も衝突をくり返し、人質が解放されたのは、事件発生から1週間後。
しかし救出後、犯人を憎むはずの人質が、口々に犯人をかばうような証言をし警察を侮辱するようなことさえ口にする。 そのうえ事件が解決した後、人質の1人だった女性が、犯人グループの一人と結婚してしまったとか。この事件から名付けられた症候群である。一方「リマ症候群」は犯人の方が人質に感化され、人質に対する態度が和らぐこと。1996年に発生したペルー・リマでの在ぺルー日本国大使公邸人質事件から名づけられたから、まだこの映画誕生の頃は思いもつかなかっただろうなあ。
・最初は怯えていただけの人質は「犯人に気に入られて、とにかく生きたい」と犯人と積極的にコミュニケーションをとるようになる。心的相互依存症が発生するのだ。その過程がこの映画では、様々な経歴を持つ人質の行動を描くことで見事に表現されている。
・リマ症候群では犯人と人質の間に、文化的な差や経済的な差があった場合、犯人のほうが人質の文化や環境に興味をおぼえ、そこから交流が始まってゆく。ティ・ロンとトニーの間にそれが起こればよかったのに…などと。
・当時の香港で現実にこういう事件が起こったんだろうか?そうすると単なる実録モノになってしまうけれど。
・勧善懲悪では決してなく、何が正義で何が悪なのか観客もわからなくなってくる秀作。多分トニー人気(^_^;)をもってしても興収は悪かっただろうが…。
・「男たちの挽歌」のティ・ロンを期待して見たら、きっとショックを受ける作品。それほど彼の凄みは強烈。決して悪人面ではなく、端正な顔で他人の生死を弄ぶから怖い。でも、こんな人の言うことなら、たとえ理不尽でも聞いちゃうよねーと納得させる存在感がある。それほどの男でも、地獄をくぐり抜け服役中の女心は掴めなかった。
・ロナルド・ウォン黄斌は「ワイルド・ブリット」「いますぐ抱きしめたい/旺角卞門」でも同じような役を演じている。さあ探してみよう!nancixは一時期、同じように目の大きなマックス・モク莫少聰と区別がつかなかった。情けない(T_T)
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