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「姑獲鳥の夏」は凝りすぎ。

姑獲鳥の夏PerfectBook 夏風邪らしくて、寒気はするわ、鼻水出るわ、上唇にできものができるわ、見られたもんじゃない外見なんですが、1日の「映画の日」に出歩けなかったので、せっかくのレディース・デーの3日に「姑獲鳥(うぶめ)の夏」を見て来ました。
 ようやく懸案事項の一つ、達成。

 今度は昼休みに、チケット買いに走って。でも真ん中より1つ前の列か最後列しか空いてなかったよ。
 定時に飛び出して、それでも入場がギリギリセーフだったんで、空腹しのぎに生ビールと…フライドポテト買ってしまった…。ざんげ。

 客席は女性だらけでした。多分、原作のコアな客は封切り直後に見てるだろうから、出演者目当ての皆さんかなあ。
 隣のキャミソール重ね着にミニスカートのギャル(死語)は「HERO」も「ムサ」も何とか(「グリーン・デスティニー」じゃないかな?)も見たけど「LOVERS」の方がよかったと言ったら、カレシ?だか映画通の友だちだかに、くそみそに言われたとぼやいていました。まあ「LOVERS」にも突っ込みたいところはいろいろあるよね、と相棒が返していました。
 ……ん、いや、黙って聞いてましたよ。ははは…はは。

 「姑獲鳥の夏」で何より言いたいのは、
 久々に ラ ス ト シ ー ン で 失 笑 が 洩 れ る 邦 画 を見ましたよ
 ってことでした。
 ……この世には、不思議なだらけです。
 なんでまた、こんなダメ押ししちゃうかなあ。
 制作者は、試写会や初日舞台挨拶有り以外の映画館で、一般観客の反応をちゃんと見たんだろうか? その上で、他の京極堂シリーズも同じスタッフで映画化するかどうか決めてください…。あ、製作には「オペレッタ狸御殿」を作ったところと同じ事務所の名前が…(苦笑い)。

 まあ、nancixは同じ実相寺昭雄監督作品の映画「帝都物語」(88)でも、魔人・加藤保憲=嶋田久作の他はキャスティングに文句があった奴なので(特に狂言回しの辰宮兄妹がよくない! 背徳やエロスのかけらもない石田純一に姿晴香って!)、実相寺監督の演出とはあんまり相性がよくありません。「ドグラ・マグラ」(88)を監督した松本俊夫の方が…向いてたかも…。
ドグラ・マグラ んーーーなんで自分は、「ドグラ・マグラ」での絵巻物での女体腐乱の説明や精神病院の中庭に巨大仏の頭がゴロンと転がってるシュールさは許せて、紙芝居(あんな題材を子どもに見せちゃいけません!)やカストリ雑誌のイラストでの猟奇のお茶濁しや実相寺監督の作り物っぽさは受け付けないんだろう? これはとっくりと考えるべき問題。
 とにかくツイ・ハークといい、特撮好きの映画人に男女のセクシャルなどろどろした情念をねちっこく演出させるのは難しいのかも…(暴言)。ところがこの「姑獲鳥の夏」からドロドロの情念を取り去ると、単なる「ウンチク野郎の横溝正史的名探偵ごっこ」になっちゃいますから。

 ……あやうくなるところでした。京極堂はフケの飛び散りそうなもじゃもじゃ頭だし(誰かが明智小五郎や金田一耕助らが、なぜクセ毛でもじゃもじゃ頭なのか、の秀逸な謎解き論評を書いていた気がする)、田中麗奈の服装が小林少年してたし。チラシなどのビジュアルは、かつての角川文庫の横溝正史シリーズ表紙を彷彿とさせる無気味な色使い。
顔色の悪い京極堂・堤真一
 「名探偵 みんなを集めて さてと言い」そのままの全員集合があったし。あ、この謎解きシーンは原作にもあったっけ。

 おまけに、突拍子もないスポットライト多用。
 ライトを当てられた人物が、カラオケマイク持って歌い出すのか、ミラーボールが回り出すのかと杞憂したぞ。イマドキ、小劇団の舞台劇だってもうちょっと自然なピン当てするんじゃないだろーか。

 せっかくこれだけのキャストを集めたんだから、撮影は正攻法で、奇をてらわずに、俳優のアップと絡みの化学的作用の魅力で、勝負した方がよかったんじゃないだろうか。
  上半身すっぽんぽん?の女優が熱演して姑獲鳥が飛び回るのも、一瞬のイメージだけで充分だったなあ。せっかくの特撮の腕は、妊娠20カ月の妊婦の腹が割れる!シーンに集中させて、炎上シーンはもうちょっと短く切り上げた方が(炎が建物と比べると大きすぎて、ミニチュアばればれじゃん)と、観客に思わせなかったんじゃないだろうか。映画「バックドラフト」「カル」もあったわけだし、大火災現場の衝撃的瞬間の映像も、もはや現代の観客は見慣れているわけで。

 主役が坂東玉三郎と「天守物語」も演じたことのある堤真一だから、長台詞で舞台劇っぽくなるのは仕方ないけど、それならいっそニナちゃん蜷川幸雄に演出してもらいたかったなあ。粘るだろうなあ、NG50回!とか=原田知世に。
 実相寺監督、全然NG出さずに「さっさと撮り終わって、いい酒を飲みましょう」なんつって、とっとと撮り終えたみたいだもんなあ。粘りすぎる王家衛をどやしてやってください、監督ぅ。

 知世ちゃんがこの1人2役に挑むと知ったときは、おおっ女優開眼! ついに汚れ役も辞さずか!と思ったものですが、……あかんかった…。いつもの、声の細ーい、表現の薄い「知世ちゃん」でした。
 スリップ1枚で松尾スズキを押し倒してまたがってほしかった。そこに飛び込んでくる医学オタクな気弱な夫に、目を吊り上げて激しく食ってかかってほしかった。
 15歳の少女らしく可憐に小首をかしげ、次の瞬間妖艶に色目をつかって「遊びましょうよぉ」と学生・関口巽にしなだれかかってほしかった。手を取って、無邪気に自分の体をすりすり撫でさせてほしかった…のに…。10数年前の毬谷友子だったら、令嬢の天真爛漫さと欲求不満の人妻の淫蕩さを、両方演じられたかなあ。

 でも関口巽も、香港スターを見慣れた目にはいまいち表情に乏しい永瀬正敏だしねえ…萩原聖人の方が…いや、いっそこれがトニー・レオンだったらなあ。10代少女へ無体なことをしでかしたと、おどおど、びくびくっ、深刻に悩んで 鬱病、対人恐怖症、多汗症、赤面症、失語症を患い、悲痛でトホホで可哀想で思わず男も女も守ってあげたくなっちゃうだろうなあ。アンディ・ラウ京極堂中禅寺秋彦にさりげなくかばわれて、元子爵の坊ちゃまで薔薇十字探偵社のレスリー榎木津礼二郎探偵に、ズケズケ言われてほぼ壊れかけの、30代前半トニーさんが見たかった…。などと。
 …で、フランシス・ンー呉鎭宇さんはどの役がいいだろう??

 嗚呼、なぜ日本にはスタンリー・クァン關錦鵬監督がウィリアム・チョン張叔平美術監督がいないのだろうか。彼らが手がけていたら、もうちっと…。だってせっかく日本の人気男優がこれだけ…(小声:同人誌もホイホイ作れそうな面子なのに…)。

 白タビはいてる猫、柘榴ちゃんが何より救いでした。
 もうだめー、猫にゃんの姿見てるだけで表情ほころびまくり。きゃわいい、きゃわいい。
 ええ、発情期のオス猫ちゃんは赤子そっくりの鳴き声出しますが、全然不気味なんかじゃなくてよ? 68歳過ぎても生き延びたら、化け猫ババアになる予定のnancixの繰り言。

 脇役に、「赤いシリーズ」ではいろんな敵役に扮して山口百恵と三浦友和をいじめていた原知佐子が出てましたね。って、ええ?? 原知佐子さんが実相寺監督夫人だったの! 初めて知った! ネットって凄い! じゃあひょっとして実相寺監督が書いた自伝的小説「星の林に月の舟 怪獣に夢見た男たち」に出てくるスクリプターの則子のモデルなの??…いや、あれはフィクションか…。三上博史が主人公を演じたドラマ版「星の林に月の舟」では、南果歩が則子を演じてたなあ…。

 久遠寺家に代々伝わる秘薬研究をしつつ、令嬢に性的いたずらを加えていたとされる人非人・菅野博行医師を演じていたのが、よもやあの特定非営利活動法人「阪神淡路大震災1.17希望の灯り」代表・堀内正美さまとは。はーっ! ビックリ。公式サイトにもパンフにもお名前がないような…?? あったっけ?

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